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2024年04月01日 現在
がん医療の進歩は目覚ましく、同時に多様化・複雑化しています。そこでこれからのがん医療には診療科横断的、職種横断的な総合力を持って対応にあたることが要求されます。当院の腫瘍センターは、これらの実践を通した患者さん満足度の高いがん医療の提供を目指しています。がんゲノム医療などの最新医療の提供はもちろん、生活の質を考慮したがんサポーティブケア(耐える治療から少しでも楽な治療へ)、妊孕性温存、就労支援を含む患者さんとご家族の社会的なサポートなどに対しても関わってまいります。また、本邦において未だ不足しているがん医療を専門とする多職種からなる人材の育成にも力を注いでまいります。
何卒よろしくお願いいたします。
センター長 宇和川 匡
東京慈恵会医科大学附属病院は厚生労働省の指定した地域がん診療連携拠点病院として、院内のがん医療とともに地域におけるがん診療の連携に診療科・職種横断的に関わっています。当センターは、診断時・治療中・治療後の患者さんの生活の質の維持・向上を重要視し、その活動内容の見える化を意識した部門編成を行い、患者さん・ご家族のがん医療におけるトータルケアを目指します。
2023年度からは、小児・AYA(Adolescent and Young Adult; 思春期・若年成人)世代からの切れ目のないがん医療が提供できるよう、腫瘍センター内に新たに小児・AYAがん集学的医療推進室を設置しました。
構成部門 | 概要 | 責任者 |
---|---|---|
外来化学療法室 | がん薬物療法 | 横山 洋紀 |
緩和ケア診療部 | 緩和医療 | 塩田 祐子 |
がんゲノム医療推進室 | がんゲノム医療 | 宇和川 匡 |
がんサポーティブケア室 | がん薬物療法副作用対策 | 内海 裕文 |
がん栄養リハビリテーション治療室 | サルコペニア・がん悪液質対策など | 鈴木 慎 |
妊孕性温存外来 | 妊孕性温存治療・相談 | 岸 裕司 |
がん相談支援センター | がん診療の支援 | 藤本 麗子 |
院内がん登録室 | がん診療の統計分析 | 矢野 真吾 |
小児・AYAがん集学的医療推進室 | 小児・AYAがん | 秋山 政晴 |
がん薬物療法専門医数(日本臨床腫瘍学会):9名
がん薬物療法指導医(日本臨床腫瘍学会):5名
腫瘍センターの一部門として組織された外来化学療法室では、悪性腫瘍に対する化学療法、それに準じる薬物療法、また腫瘍に関する治験薬投与を集約し、安全で快適かつ効果的な治療環境の提供を目指しています。
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外来化学療法室における治療は各診療科で十分な知識と経験を有する外来治療医のもと、多職種で行われます。薬剤の調整作業はがん薬物療法認定薬剤師が指導し、薬剤ミキシングルームで行います。また、緊急時に対応できるように常駐医を配置しています。
がん治療を行う全ての診療科の実際の治療は、化学療法室看護チームが、治療実施のみならず、健やかな暮らしを続けるために、一人ひとりの方を大切にケアしてまいります。
22020年度には年間利用数1万件(延べ件数)を超しました。年々増加傾向で2023年度は11,573件となっております。
【こんなときには、ご相談ください。】
なにかご提案できることがあるかもしれません。悩まれたときにはいつでもご相談ください。
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「緩和ケアチーム」は、がん患者さんの様々なつらい症状を和らげるための支援を行っています。チームには、内科医、精神科医、専門看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、スピリチュアルケアワーカー、栄養士が参加しています。
多職種のメンバーがそれぞれの専門性を生かし、患者さんの抱える問題について様々な視点から考え、必要なお手伝いができるよう努めています。
つらい症状があるときには、そのために考える余裕がなくなってしまったり、意欲がわかなくなったり、体力が落ちてしまうことがあります。結果として治療の進み方に影響してしまうこともあるかもしれません。つらい症状を和らげることは、治療を適切に受けていただくための大切な力になると考えています。
がんゲノム医療は、がんを臓器ごとの疾患と捉えるのではなく、原因となる遺伝子ごとに治療を決定する医療です。がんゲノム医療推進室は診療科横断的に、最適ながんゲノム医療の提供を目指しています。がんゲノム医療に関してお聞きになりたいことがあれば、『がん相談支援センター』にお問い合わせください。
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2015年1月、米国のオバマ元大統領が一般教書演説の中で”Precision Medicine”の開始を宣言し、がんゲノム医療が世界で一気に認知されるようになりました。そして日本においては2019年半ばより、遺伝子パネル検査を用いたがんゲノム医療が保険診療で可能になりました。今までのがん薬物療法は、がんの発生臓器に応じて治療法が決められ、各種ガイドラインに沿った治療を行ってきました。この治療は、今後もがん治療の中心的役割を果たします。一方でがんゲノム医療は個々のがんを発生臓器別に分類するのではなく、個別のがんととらえるオーダーメード治療(個別化治療)です。具体的には、個々のがんに対して治療に有益な遺伝子の変化(遺伝子変異)を見つけて、その遺伝子変異をターゲットとした治療(分子標的治療)を行います。遺伝子パネル検査は、この治療ターゲットを見つけるための検査です。遺伝子パネル検査では偶発的に遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異が明らかになることがあります。その場合でもがんゲノム医療推進室は遺伝診療部と密に連携しており、速やかに遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによるサポートが受けられ、安心して検査を受けることができる体制にあります。遺伝子パネル検査のニーズが高まる一方で、遺伝子パネル検査を行える施設は限定されています。そこで当院では他院におかかりの患者さんに対しても検査を行える体制をとっています。がんゲノム医療に関してお聞きになりたいことがあれば、『がん相談支援センター』にお問い合わせください。
当院で実施されている遺伝子パネル検査(2024年3月時点)
当院で行われた遺伝子パネル検査数(2024年3月時点) 409件。
他院の患者さんがパネル検査を希望される場合
当院では疾患に応じて対応する診療科が決まります。また遺伝子パネル検査を行う際に、おかかりの医療機関からの情報提供が必要になります。詳細については『がん相談支援センター』にお問い合わせください。
がんサポーティブケア室は、がん薬物療法を安全かつ快適に行えるようあらゆる副作用対策を行います。また院内セーフティーマネージメント委員会(医療安全に関わる委員会)と直接的に連携し、医療事故防止にも関わっており、がん薬物療法がより安全に施行可能なリスク管理体制も整えています。
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各診療科への治療サポートとその実現のため職種横断的なチーム医療の体制づくりを行っています。2019年に腫瘍センター内に免疫ポイントチェック阻害薬の副作用対策を目的として有害反応対策室として設置され、2021年度からは日々進歩する新規薬剤を含めたすべての薬剤の多彩な副作用対策を担うことを目的として、がんサポーティブケア室に呼称を変更しました。
多彩な副作用の中には治療を行っている診療科のみでは対応が困難なものも多く、診療科横断的な対応が望まれます。そこで、がんサポーティブケア室は診療科間の橋渡しを行い、安全にがん薬物療法が行える体制をとっています。また患者さんの生活の質が損なわれぬよう副作用を軽減する支持医療を適宜使いながら、より快適に治療の継続ができるようなサポートをおこないます。そのため適切な支持療法の検討、導入、研究を行います。
がん患者さんにとって、体重減少や筋肉量の低下が、薬物療法などの治療継続、治療効果や生存期間へ悪影響を及ぼすことが報告されています。 がんの治療に際して、食事と運動について気になることがございましたら「がん栄養リハビリテーション治療室」までご相談ください。
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がん患者さんにとって食欲の低下・体重減少・筋肉量の低下(サルコペニア)が大きな問題です。また、体重減少や筋肉量の低下が、薬物療法などの治療継続、治療効果や生存期間へ悪影響を及ぼすことが報告されています。そこで当治療室ではリハビリテーション専門医師、リハビリテーション療法士、管理栄養士と協力して、個々の患者さんに応じた運動・栄養に関するアドバイスやサポートを行います。
などの悩みがございましたら、「がん栄養リハビリテーション治療室」にご相談ください。
若い患者さんに対するがん治療は、その内容によっては卵巣や精巣などの性腺機能不全となり、子宮・卵巣・精巣など生殖臓器の喪失により将来子どもを持つことが困難になることがあります。これらの問題に対応するために当外来は腫瘍センター内に設置されました。妊孕性温存方法は進歩しており専門医が担当します。
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若い患者さんに対するがん治療は、その内容によっては卵巣や精巣などの性腺機能不全となり、子宮・卵巣・精巣など生殖臓器の喪失により将来子どもを持つことが困難になることがあります。医療者と患者さんにとって、最大のゴールは病気を克服することであるため、これまではがん治療によるこれらの問題点には目をつぶらざるを得ませんでした。
しかし、最近はがん診療の飛躍的進歩によってがんを克服した患者さんの治療後の生活の質(QOL=quality of life)にも目が向けられるようになってきました。子宮がんや卵巣がんに対する子宮や卵巣を温存する手術、放射線治療から卵巣を保護する手術、さらには生殖補助技術の進歩による精子や卵子、受精卵の凍結保存などは広く普及するに至っています。
最近では卵巣を組織ごと凍結保存して、がん治療の終了後に再度体内に移植する技術も確立されつつあります。現在、がん治療で通院中の方、これからがん治療を受ける予定の皆さんを対象に、がん治療による不妊の予防や対策についてご相談を伺います。
当院で可能な治療 - がん生殖前後の相談およびカウンセリング - 精子凍結 - 胚(受精卵)凍結 - 卵子凍結 - 卵巣凍結 - 妊孕性温存の方法については以下のリンクをご参照ください。 - 日本がん・生殖医療学会 妊孕性/妊孕性温存 (j-sfp.org) - 小児・若年がんと妊娠 (j-sfp.org) - 生殖内分泌(不妊症)東京慈恵会医科大学附属病院 (jikei.ac.jp)
治療内容やスケジュールを詳細にお知らせ頂くため、主治医もしくは担当医から生殖外来へ直接お電話をいただきカウンセリング候補日のご相談をさせていただいております。
受診を希望される患者さんが直接ご相談を希望される場合は腫瘍センターのがん相談センターにご連絡をお願いします。
費用について - カウンセリング料(初診時のみ):1万円 - 精子凍結:5万円 - 卵子・受精卵凍結:40~50万円
※2021年4月から助成金(小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存に係る経済的支援)が開始されました。詳細は外来スタッフにお尋ねください。
~あなたのための相談員がいます~
病は人生の想定外の出来事であり、突然、病を抱えることになります。悩みや問題が生じやすい日々に一転します。自分の力とさらに周囲の方の力を借りてもうまくいかない時に、がん相談支援センターが役に立つかもしれません。
誰かに話しを聞いてもらいたい、でも家族、友人では気が引ける、周りの方に心配や迷惑をかけるのは嫌という方はなおさらです。いち早くがん相談支援センターを覗いていただくと、話すことでよい結果にたどり着いたり、自分が今、何をすべきか気づきを得たり、さらには癒しにもなるかもしれません。
ささいなことでもためらわず受診の合間にでもご利用ください。対面は避けたい方には電話相談も行っています。がんになっても自分らしく暮らすことを大切に相談員が応対致します。
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月曜日~金曜日 9:00~12:00 13:00~16:00
土曜日 9:00~12:00
(祝日・年末年始・病院の休日を除く)
外来棟1F がんサロンソレイユ(がん相談支援センター)
事前にご連絡をいただけますとお待たせ致しません。完全予約制ではありません。
03-5400-1232(直通)
※診断や治療の判断をするところではありませんので、ご了解ください。
当院で、がんの診断や治療を受けられたすべての患者さんの情報を「がん診療連携拠点病院 院内がん登録 標準登録様式」に基づき、専門の研修を受け認定されたスタッフが、登録を行っています。
登録した情報は、匿名化されがん対策情報センター(国立がん研究センター)が行う全国集計および予後情報集計に提出することで、国のがん対策の基礎資料として活用されるとともに、同じ方法で登録された他病院の情報と比べることで、当院の実態把握に役立てることができます。
なお、この院内がん登録を行う際に得られた情報は、個人情報保護法および当院の個人情報に関する規程に従い、その扱いに十分配慮し、適切に管理を行なっております。
院内がん登録集計
・ 2020年症例
・ 2021年症例
・ 2022年症例
小児は小児科が、成人は成人の臓器別の診療科が担当していますが、小児と成人の年齢的区分が診療上課題でした。当部門は腫瘍センター内の各部門と連携しながら、年齢的な切れ目のない集学的医療を提供するために設置されました。
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小児AYAがん診療の対象とする疾患は、血液疾患、固形腫瘍、脳脊髄腫瘍などの希少がんが多く、化学療法、外科的治療、放射線療法からなる集学的“治療”を要します。当部門名の集学的“医療”の意味するところは、がん治療に加えて就学・就労を含む社会的支援・情報の提供、治療や治療に伴う副作用に対する支持療法での支援、妊孕性に関する支援、栄養リハビリテーションでの身体的サポート、妊孕性温存と幅広い医療です。この集学的医療を支えているのは各診療部門の密な連携です。定期的なキャンサーボード以外に必要に応じて関係する診療科、診療部門のキャンサーボードを開催することで、患者さんに適した治療を行っています。
小児AYAがんに精通する小児科、小児外科、小児脳神経外科、放射線治療部、看護部、薬剤部から構成されるスタッフを中心に患者さんとその家族に寄り添うがん医療を行います。
【院内セミナー】
- 2022年9月6日
『今後の睡眠薬適正使用について再考する- がん支持医療としての不眠症を考える- 』
- 2022年10月3日
『アドバンス・ケア・プランニング~「人生会議」のよもやま話~』
- 2022年11月30日
『神経内分泌腫瘍(NEN)診療を考える会〜新しい治療法PRRT~』腫瘍センター・放射線治療部共同開催
- 2023年10月17日
『神経内分泌腫瘍(NEN)診療を考える会〜新しい治療法PRRT~』腫瘍センター・放射線治療部共同開催
- 2024年2月5日
「慈恵医大脊椎転移キャンサーボードの取り組み~転移性脊椎腫瘍全例 WEB 登録からハイブリッド手術室における最小侵襲脊椎手術まで~」
【院外活動】
- 2022年12月22日
東京都公立学校におけるがん教育事業外部講師派遣 東京都立蔵前工業高等学校
- 2024年3月11日
「第275回青戸小児科医会・東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍センター共催 令和5年度東京都小児がん地域連携推進事業研修会」
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病院敷地内は全面禁煙です。
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