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先進医療

無題ドキュメント

2023年7月10日現在
当院において承認され現在行われている先進医療は下記の通りです。

CYP2D6遺伝子多型検査

診療科小児科
適応症ゴーシェ病患者のうち経口投与治療薬(エリグルスタット酒石酸塩)を投与される予定の患者
料金患者負担無し
承認年月日平成27年9月1日
主な内容ゴーシェ病は糖脂質代謝障害のため、グルコシルセラミドが種々の臓器に蓄積し、発症する極めて稀な先天性代謝異常症です。
現在、ゴーシェ病の治療薬としては、隔週に点滴静脈内投与する酵素補充療法が一般的ですが、最近、経口薬(エリグルスタット酒石酸塩)が承認されました。この経口薬は体内でチトクロームP450 2D6(CYP2D6)によって分解・代謝されますが、このCYP2D6の働きには個人差があることが知られています。
CYP2D6の働きは、遺伝子多型を検査することによって推定することができますので、その結果によってその患者さんに適した投与量を決定します。この経口薬は原則として16歳以上のゴーシェ病患者さんが適応ですので、この検査を受けられるのは16歳以上のゴーシェ病患者さんです。

腹腔鏡下センチネルリンパ節生検(早期胃がん)

診療科消化管外科
適応症早期胃がん
料金患者負担無し
承認年月日平成27年1月30日
主な内容

【対象】
術前検査のCT検査などでリンパ節転移がない、長径4cmまでの早期胃がんの患者さん

【先進医療機関】
本治療は本学の倫理委員会で認可され、先進医療として東京慈恵会医科大学附属病院および東京慈恵会医科大学附属柏病院で受けることができます。

【理論背景】
センチネルリンパ節(SN)とは、がん病巣から直接リンパ流を受けるリンパ節のことで、がんのリンパ節転移が最初に起こる場所と考えられています。SNにがん細胞の転移がなければ他のリンパ節には転移していないと考えられ、余分なリンパ節を切除しなくてもいいということになります(SN理論)。すでに乳がんでは保険医療となり、生存率などの治療成績を損なうことなく、リンパ浮腫などの手術後遺症を減らすことが証明されています。

【早期胃がんに対する標準治療と縮小手術】
内視鏡治療適応でない早期胃がんの標準手術は、がんの部位によって噴門側胃切除、幽門側胃切除、幽門温存胃切除、また胃全摘が選択されています。それに加えて、リンパ節転移の可能性を考え、領域リンパ節の郭清(切除)が行われます。しかし、実際には早期胃がんではリンパ節転移がない場合も少なくありません。その場合、標準手術では患者さんにとって大きすぎる手術になってしまいます。そこで標準手術では過大手術となることが予測される患者さんを見つけ出し、縮小手術へと導く試みがSN生検です。なぜなら、胃を大きく切った患者さんが被るデメリットは小さくはないからです。胃全摘でなくても胃切除後は、少ししか食べられない、早く食べると苦しくなる、下痢をしやすくなるなどの直接的な消化障害にとどまらず、食後に動悸やめまいがするダンピング症候群や体重減少などの合併症が起こり、生活に支障を来たす患者さんは少なくありません。

【方法】
RI(アイソトープ)とICG(緑色色素)および赤外線腹腔鏡を用いてSNを同定します。SNにがんの転移を認めた場合には標準治療を行いますが、SNにがんの転移を認めない場合では、リンパ節郭清(切除)範囲を縮小するとともに、胃切除範囲も小さくして胃容量を温存する縮小手術を行います。

【過去の実績】
本先進医療前に施行された12施設400例以上を検討した臨床試験で、同対象患者さんに対してSNが見つかる率は97.5%、SN転移の正診率は99%という成績でした。つまり99%の正確性でセンチネルリンパ節を用いてがん転移の有無を判定できることが明らかになっています。慈恵医大の2施設でも総計350症例以上のSN生検が実施され、同等の成績を報告しています。

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

診療科精神神経科
適応症薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード
料金患者負担無し
承認年月日平成31年3月1日
主な内容双極性障害の抑うつエピソードの治療では、クエチアピン、リチウム、オランザピン、ラモトリギンの使用が推奨されていますが、これらの薬物療法が奏功せず、うつ状態が遷延することがあります。このような治療抵抗性を示す双極性障害の抑うつエピソードの患者さんが対象となる治療法です。
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、脳皮質を非侵襲的に刺激し、ニューロンの活動性を変化させる技術です。rTMS療法は、薬物療法に反応しないうつ病への治療法として承認されています。この先進医療は、治療抵抗性を示す双極性障害の抑うつエピソードに対して、rTMS療法の有効性を検証するための臨床試験です。この臨床試験では、クエチアピン、リチウム、オランザピン、ラモトリギンのいずれか1剤を併用したまま、実刺激あるいは偽刺激のrTMS療法を外来で実施します。1日30分、週5日、4週間の治療期間のあと、28週間の観察期間があります。この臨床試験では、rTMS療法の費用負担はありませんが、参加することで外来への通院回数が増えます。治療期間と観察期間の終了時に謝礼が支払われます。

胃上皮性病変に対するプローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡の診断能に関する多施設前向き研究

診療科内視鏡科
適応症20歳以上79歳以下の早期胃がんまたは早期胃がんが疑われる方で治療が予定されている患者さん、もしくは早期胃がん内視鏡治療後40週以上経過した患者さんが対象となります。
料金患者負担無し
承認年月日2020年3月1日
主な内容消化管内視鏡検査は、早期胃がんや早期大腸がんの発見においては信頼性が高く、検診やスクリーニング検査として広く行われています。しかし、内視鏡の一般的な観察法である白色光観察だけでは、良性、悪性(=がん)の診断を正確に行うには十分ではありません。現在は、白色光観察だけではなく、病変部に色素を散布し般察する色素内視鏡観察や、特殊なフィルターを用いて血管や粘膜の模様を強調して観察する狭帯域光観察(Narrow Band Imaging: NBI)といった方法が行われており、有用性が報告されています。しかし、85-100倍に胃粘膜表面を拡大して、粘膜模様や、血管の形から顕微鏡での組織構造(病理組織)を類推しても、病理組織像と同等の倍率で評価しているわけではないため、診断精度には改善の余地があります。この研究で使用するプローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡は、胃粘膜表面を約1000倍に拡大観察することで、病理組織像に類似した画像を評価し、消化管病変に対する良性、悪性の診断を内視鏡検査と同時に行えることが期待されています。本研究は、対象患者さんの通常の内視鏡検査中に、共焦点内視鏡検査を追加し、この検査が消化管がんの組織像をどの程度正確に反映し、診断に有効であるかを評価することを目的としています。

JCOG1503C Stage III治癒切除大腸癌に対する術後補助療法としてのアスピリンの有用性を検証する二重盲検ランダム化比較試験

診療科下部消化管外科、消化器肝臓内科
適応症下部直腸を除く大腸癌
料金患者負担なし
承認年月日令和4年2月1日
主な内容

本試験はJCOG *1)大腸がんグループの臨床試験です。

アスピリン(アセチルサリチル酸)は、非ステロイド性抗炎症薬の一つとして、1897年に開発されて以来、世界中で広く使われている薬剤です。当初は、解熱・鎮痛薬として用いられ始めました。その後、血栓を作りにくくする効果も認められ、脳梗塞や心筋梗塞などの血管系疾患の予防薬としても広く用いられるようになりました。
このアスピリンに、大腸がんの予防効果があることが1988年に報告されました。詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、その後、大腸がんの前駆状態である大腸腺腫の発生予防や、早期大腸がんの再発予防(二次予防)を調べた臨床試験が数多く報告されるようになりました。さらに、大腸がんの手術後にアスピリンを内服した患者さんは、再発が低くなる可能性があることも報告されました。このため、手術の後には、術後補助化学療法にアスピリンを組み合わせることで、大腸がんの再発を予防することができるのではないかと考えました。ただし、今までの報告の結果から、アスピリンが大腸がんの再発を本当に抑えることができるかは、明らかではありません。よって、今回、アスピリンの大腸がん再発の抑制効果を確かめるために臨床試験を行います。アスピリンの効果を調べるために、二重盲検法*2)という方法で臨床試験を進めていきます。この臨床試験では、半年間の術後補助化学療法と、3年間の試験薬(プラセボまたはアスピリン)を内服する治療を受けていただきます。


1)JCOG
JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)は、国立がん研究センター研究開発費(旧がん研究助成金)研究班を中心とする共同研究グループで、国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門が研究を直接支援する研究班の集合体です。がんに対する標準治療の確立と進歩を目的として様々な研究活動(多施設共同臨床試験)を行っています。

2)二重盲検法(にじゅうもうけんほう)
二重盲検法ではプラセボという特殊な錠剤を用います。プラセボは有効成分を含まない薬のことで「偽薬(ぎやく)」とも呼ばれています。この臨床試験では、アスピリンとプラセボを使用しますが、この方法を二重盲検法と呼び、アスピリンとプラセボのどちらを飲むことになるかは、担当医も知ることができません。担当医が「この人はプラセボを飲んでいる人だ」とわかっていると、先入観がはたらき、アスピリンを飲んでいる患者さんとプラセボを飲んでいる患者さんへの対応に違いが生じる可能性があるため、患者さんにも、担当医にも判らないようにします。

内視鏡的胃局所切除術

診療科内視鏡部、上部消化管外科
適応症胃粘膜下腫瘍(長径が1.1cm以上であり、かつ、3cm以下のものに限る)
料金219,252円
承認年月日令和4年6月1日
主な内容

現在、胃粘膜下腫瘍に対して行われている標準治療は、開腹または腹腔鏡下の外科手術です。近年、腹腔鏡と経口内視鏡を併用した腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)が開発され、2014年に健康保険が適用されるようになりました。この先進医療では、経口内視鏡のみを用いて治療を行うため、体に全く傷を残すことなく治療が完了することが最大のメリットです。腫瘍が胃壁の固有筋層の浅い部分に及ぶものの深い部分には及んでいないに場合は、腫瘍が及んでいる固有筋層のみを切除します(この場合、漿膜を傷つけていないため胃は穿孔していません)。一方、腫瘍が胃壁の固有筋層深くにまで及んでいる場合には、腫瘍と腫瘍付着部の固有筋層を含む胃壁の全層を切除し(その結果、胃壁が穿孔します)、切除後に胃壁欠損部を内視鏡的に閉鎖します。従来の治療法とは異なり、胃壁の損傷も最小限で済むことから、患者さんの負担の軽減が期待されます。

反復経頭蓋磁気刺激療法 うつ病(急性期において当該療法が実施された患者に係るものであって、薬物療法に抵抗性を有するものに限る。)

診療科精神神経科
適応症薬物療法に反応しない治療抵抗性うつ病を対象とし、反復経頭蓋磁気刺激の急性期療法により反応あるいは寛解した患者
料金693,600円(1回の治療当たり17,340円、合計40回の治療を実施します)
承認年月日令和5年4月1日
主な内容

うつ病は再発しやすく、特に薬物療法が効かない治療抵抗性うつ病の場合は再発を予防するために長期間の治療が必要となります。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法は、非侵襲的に脳を刺激し精神症状を改善させる治療法で、治療抵抗性うつ病に効果があるとされています。
日本でも、治療抵抗性うつ病にrTMS療法が急性期の治療で最大6週間まで保険で受けることができますが、その後の長期的な効果についてはまだ研究が進んでいません。
今までの研究では、急性期のrTMS療法を受けた患者の長期的な効果を調べた結果、維持期のrTMS療法を受けることが再発を予防するために有効な可能性が示されています。また、私たちは2名の治療抵抗性うつ病の患者に急性期のrTMS療法を行い、症状が改善した患者に対して12ヵ月の維持期のrTMS療法を行ったところ、12ヵ月後も症状の改善が維持されました。
本先進医療では、薬物療法に反応しない中等症以上の成人うつ病患者を対象に、急性期のrTMS療法で反応または寛解した患者に対して、維持期のrTMS療法(前半6ヵ月は毎週、後半6ヵ月は隔週)を行い、再発や症状の増悪を抑制するかどうかを明らかにする予定です。急性期rTMS療法は保険診療で行われますが、維持期rTMS療法の12ヵ月間は先進医療として実施されます。

子宮内細菌叢検査1・2、子宮内膜受容能検査 1(EMMA, ALICE, ERA)

診療科婦人科・生殖内分泌科
適応症慢性子宮内膜炎、反復着床不全
料金子宮内細菌叢検査1 (ALICE)  37,897円
子宮内細菌叢検査2 (EMMA) 48,001円
子宮内膜受容能検査1 (ERA)  101,511円
承認年月日令和5年5月1日
主な内容

生殖補助医療(体外受精胚移植治療)を受けている患者さんで、受精卵を子宮に移植する胚移植という処置を複数回行っているにもかかわらず、胚が子宮内膜に着床せず、妊娠が成立しない患者さん(反復着床不全の患者さん)を対象として行われる検査です。子宮内細菌叢の状態、慢性子宮内膜炎起因菌の有無、胚を受け入れる時期(着床の窓)のずれの有無、等、妊娠の成立に関わる可能性のある子宮内膜の状態を把握する事を目的として施行されます。
反復着床不全の患者さんでは、これらの検査異常が検出される割合が高いとの報告があり、異常を認めた場合に、治療や胚移植時期の適正化を行うことが、妊娠成績の向上につながる、との報告もなされています。しかし、その有用性を否定する報告もあり、現時点では、その有効性が期待されてはいるものの、標準的な検査法としては認められていないのが現状です。日本生殖医学会編の生殖医療ガイドラインでは、これらの検査については推奨レベルC(実施する事が考慮される)と記載しています。
今回の先進医療では、検査内容についてご理解いただいた上で、ご希望のある患者さんにこれらの検査を施行し、その有効性の有無を確認し、将来の保険診療への実装を目指しています。検査自体は自由診療(自費診療)で行われるものとなりますが、先進医療として登録を行う事で、保険診療との併用が可能となります。担当医より十分な説明を受けていただいた上で、検査を受けるかどうか、ご夫婦でご判断ください。

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