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2020年11月18日

体の表面に傷を残さない、究極の低侵襲減量手術。内視鏡で肥満症を治す。#002内視鏡医学講座   教授 炭山 和毅・診療医長 土橋 昭

内視鏡的スリーブ状胃形成術のイメージ図

肥満人口は世界的に急速に増大し、日本でも食習慣の変化等により社会的問題となっています。特に高度の肥満は病的な状態であり、高血圧症、2型糖尿病、脂質代謝異常症などの健康障害の原因となります。減量法としては、運動や食生活の改善などライフスタイルの改善が一般的ですが、病的肥満症の方のほとんどは、長期的に減量を維持することができません。極めて有効な長期的減量法として、腹腔鏡下スリーブ胃切除術などの外科治療があり、世界的に普及していますが、高度肥満症の方が少ない日本では、多くの患者さんが未だに手術を受けることに躊躇しています。今回本学では、体に優しい新しい減量手術法として、胃カメラを用い、胃を内側から縫い縮める内視鏡的スリーブ状胃形成術(ESG; Endoscopic Sleeve Gastroplasty )を、その開発者である米国Mayo ClinicのChristopher Gostout教授によるリモート指導のもと、日本で初めて実施いたしました。

内視鏡的スリーブ状胃形成術とは

内視鏡的スリーブ状胃形成術(ESG)では、口から挿入した内視鏡に沿わせ縫合器を胃内へと挿入し、内側から胃壁を縫縮させるため、体の表面には全く傷が残りません。外科手術に比べると減量効果は少し低くなりますが、軽度の肥満症や過体重の方には極めて効果的な減量方法で、糖尿病をはじめとする肥満症に伴うメタボリックシンドロームに対する治療や予防法として世界的に普及しつつあります。


治療前後の胃内視鏡像
左:治療前、中央:内視鏡縫合器を用いた縫縮、右:治療後、縫縮された胃内腔

内側から消化管を縫い合わせることを実現した、画期的な内視鏡用縫合器、OverStitichTM

本学内視鏡医学講座の炭山教授は、2005年からGostout教授の研究室に博士研究員として留学し、ESG開発の基盤技術となった内視鏡用縫合器(OverStitchTM, Apollo Endosurgery社)の研究・開発を行っていました。その後、OverStitchTMは、世界各国で市販化され、現在までにESGを含む、様々な新しい内視鏡手術を生み出しました。同講座からは、今回の術者の一人でもある土橋昭助教も、2016年から2年間Mayo Clinicに留学し、ESGの研究に携わり、動物実験やトレーニングを重ねてまいりました。また、本学では、2016年に内視鏡治療後潰瘍の閉鎖法として本邦で初めてOverStitchTMを臨床導入し、以降、様々な基礎・臨床研究を行い、その成果を、国際学会での発表や論文として報告してまいりました。


中央:ESGの開発者Christopher Gostout教授と炭山教授(右)土橋助教(左)(2020年、当院内視鏡室において)

高度肥満症の少ない日本でこそ、内視鏡治療を普及させたい

実際に、米国におけるESGの減量治療効果を目の当たりにし、我々は、高度肥満人口が少ないにもかかわらず、多くの方が糖尿病や高血圧症などに苦しまれている日本でこそ、ESGを普及させるべきであると確信いたしました。そして、長年にわたる基礎・臨床研究を介し、また、動物モデルを用いたトレーニングを重ね、我々が安全に治療を提供できる十分な技能を習得したと判断し、今回、臨床研究としてESGを本邦で初めて臨床導入するに至りました。

本学、学祖高木兼寛先生とMayo Clinic創設者Dr William Worrall Mayoの写真の前で


内視鏡手術で肥満症治療はこう変わる

ESGは、減量効果は低いが体に優しい内科的治療法と、減量効果が高いが体の負担が大きい外科治療の中間に位置する治療法です。今回、新しい内視鏡による減量治療が加わったことで、特に軽度の肥満症や過体重の方々にとっては、効果的で体に優しい治療法の選択肢が増えます。海外では、既に千人を超える患者さんを対象にESGが行われ、術後5年経過しても体重の再増加はほとんどないことも証明されています。また、縫合した糸を切ることで胃を元の形に戻すことができるのもESGの利点です。 内視鏡先進国である日本では、多くの病院で高度の内視鏡治療が行われており、この研究により日本人でのESGの安全性や治療効果が証明されれば、新たな肥満治療法としてESGが普及する土壌は醸成されていると思われます。本学では、一日でも早く日本の患者さんにESGのような素晴らしい内視鏡治療法が届けられるよう、OverStitchTMの本邦での市販化を目指し、Apollo Endosurgery社との共同研究を今も続けています。




本邦初の内視鏡的スリーブ状胃形成術の様子(2020年11月17日撮影)

ひと言解説

当院でESGを行うためには、一定の基準があります(BMI:32kg/m2以上、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎を認めないなど)。まずは、当院の肥満治療外来に通院する必要がございます。詳しくは当院にお問い合わせください。

内視鏡医学講座

教授 炭山 和毅・診療医長 土橋 昭

内視鏡医学講座

教授 炭山 和毅

2003年、東京慈恵会医科大学大学院卒業。2005年より米国Mayo Clinicへ博士研究員として留学。 2015年より現職。

内視鏡医学講座

助教 土橋 昭

2013年、東京慈恵会医科大学大学院卒業。2010年より内視鏡に関する研究を始める。2016年より、米国Mayo Clinicへ留学。2018年より現職。
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