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2024年12月05日

ビタミンD特集 しっているようで知らないビタミンD臨床検査医学講座   教授 越智 小枝

ビタミンDの測定をしている越智教授

ビタミンDにはまだまだ知られていない作用があると言われています。

慈恵医大では今後もその解明に努めながら、皆さんにも楽しく情報を伝えられればと考えています。

ビタミンDは「ビタミン」なの?

 ビタミンとは、「人の健康に欠かせない栄養素のうち、体内で必要量を合成できない微量物質」と定義されます。でも、私たちは、日に当たることによって体の中でビタミンDを作ることができます。ではビタミンDはなぜ「ビタミン」なのでしょうか。

 遠い昔、人類が服を着ないで外で生活していた頃は、人は日に当たることで充分にビタミンDを合成できていたと思われます。しかし現代の人々は服を着て、大半の時間を屋内で過ごします。さらに最近は多くの方が外でも日傘や日焼け止めを使用します。このため、私たちがビタミンDを合成する機会はどんどん減っているのです。
 つまり、現代の生活スタイルにおいてはビタミンDは人が「必要量」を合成できない、「ビタミン」だ、と言えるでしょう。

ビタミンDはなぜ大切なの?

 ではビタミンDが不足すると、何が悪いのでしょうか。一番よく知られているのは、骨への影響です。ビタミンDは腸からカルシウムを吸収し、骨にカルシウムを取り込ませる作用を持っています。このためビタミンDが極端に不足すると、骨がもろくなり、骨折しやすくなることが知られています。またカルシウムは筋肉を動かすときにも大切な物質です。ビタミンDを摂取することで筋肉の柔らかさが増し、転びにくくなることも知られています。

 もう一つ大切なビタミンDの作用は、免疫を整える作用です。ビタミンDは感染症やがんに対する免疫力を高める効果や、アレルギーや自己免疫疾患といった体の免疫が暴れてしまう病気を整える効果があります。それだけでなく、ビタミンDはうつ病や不妊などを含め様々な病気と関係することも分かってきています。

ビタミンD不足かどうかを知るためには?

 では、ご自身がビタミンD不足であるかどうかはどうやって知ることができるのでしょうか。多くのビタミンD不足は無症状のため、ビタミンD不足かどうかを知るためには、血液検査が必要です。現在、血液中の25水酸化ビタミンD [25(OH)D]の濃度が30ng/ml未満だとビタミンD不足、 20ng/ml未満だとビタミンD欠乏と定義されています。

 では、日本人はどのくらいの人がビタミンD不足になりやすいのでしょうか。残念ながら、意識しなければほとんどの人で不足してしまうようです。最近慈恵医大では健康診断を受けられた方々を対象に25(OH)Dを測定してみました。すると、なんと98%もの方がビタミンD不足であることが分かったのです。

 ただし、一見健康な人でも不足しているということは、ビタミンDは「不足すると病気になる」栄養素というよりは、「十分にとった方が健康になりやすい」栄養素、と考えていただく方が適切かもしれませんね。

臨床検査医学講座
教授 越智 小枝
東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座・講座担当教授、同大附属病院中央検査部部長。1999年、東京医科歯科大学医学部医学科卒。 東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科、リアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院、相馬中央病院内科診療科長などを経て、2022年から現職。

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