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2024年04月01日 現在
当科は「病気を診ずして病人を診よ」という建学の精神と、初代主任教授 樋口繁治教授の「慈心妙手」の精神のもと、産婦人科医療の四本柱である腫瘍、周産期、生殖、女性医学について、それぞれの専門医が高度な知識と技術をもって診療を担当しております。また、当科では大学病院ならではの各種専門外来も設置しております。
2020年1月に開設された新病院では、総合周産期母子医療センターとして24時間体制で分娩や緊急手術に対応しております。また、腹腔鏡やロボット支援の低侵襲手術にも対応しているほか、国内外の臨床試験や治験に参加し、新たな治療法の開発にも取り組んでいます。
また、若年がん患者さんへがん生殖医療を提供しています。
診療部長/教授 岡本 愛光
生殖内分泌外来
婦人科
腫瘍部門
子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性腫瘍では腹腔鏡手術・ロボット手術といった低侵襲手術を積極的に導入しています。婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌など)の治療方針は、ガイドラインに基づいた標準治療を基本としておりますが、新規治療法を安全かつ有効に開発、提供するために臨床試験への参加も積極的にお勧めしています。また、症例によっては妊孕性温存(妊娠の可能性を残す)治療も行っています。
生殖・内分泌部門
不妊症、不育症の専門外来が密に連携し、生児獲得を目指しています。
周産期部門
総合周産期医療センターとして、出生前診断、ハイリスク妊娠管理、母体搬送の受け入れなどを行っております。2020年に開設された新病院において、総合周産期母子医療センターとしての役割を果たし、さらに安全な無痛分娩を行っております。
子宮筋腫
症状、年齢、挙児(妊娠・出産)希望の有無などにより治療方針を決定しています。年間約250件の手術を行っており、症例に応じて腹式、腟式、腹腔鏡下およびロボット支援下手術を選択しています。子宮全摘出、筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出、粘膜下筋腫に対する子宮鏡下筋腫摘出を行っています。
卵巣嚢腫
年間約200件の手術を行っており、症例に応じて開腹手術だけではなく、腹腔鏡下手術や小切開による腹腔鏡補助手術を積極的に行っています。症例により卵巣機能を温存する嚢腫摘出術と付属器(卵巣卵管)摘出術を施行しています。
子宮頸癌
年間治療件数は約50件です。進行期に応じて、手術療法や放射線療法、同時化学放射線療法を選択しています。放射線治療は、放射線治療専門医とともに治療方針を検討します。
子宮体癌
年間手術件数は約60件です。術前画像所見、組織型、手術所見などから術式を決定しています。2014年4月より腹腔鏡下子宮体癌根治手術が保険適応となり、当院でも適応のある症例に対して実施しています。2021年よりロボット手術も開始しました。病理組織検査の結果により術後補助療法(化学療法)の必要性を検討します。また、妊孕性温存を希望され、かつ適応条件を満たす場合は、リスクを十分に説明した上でホルモン療法を行っています。
卵巣癌
年間治療件数は約60件です。手術により腫瘍を摘出し、臨床進行期を決定します。症例によっては手術中に迅速病理診断を行い、術式を決定しています。また、進行例では残存腫瘍の有無が予後に影響するため、外科・泌尿器科専門医の協力のもと可能な限りの腫瘍減量術を行っています。病理組織検査の結果により術後補助療法(化学療法)の必要性や使用薬剤を検討します。卵巣癌は子宮頚癌、子宮体癌と比較して予後不良のため、予後改善のために特に基礎研究、国内外の臨床試験・新薬治験への参加を積極的に行っています。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術症例は年間約350件で全手術の約50%を占めます。主に卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮外妊娠、不妊症(卵管摘出、卵管通色素、精査など)に対する手術の際に選択しています。手術侵襲が少なく、短期入院での治療が可能です。また、子宮体癌に対して施行しています。
更年期障害
更年期障害は内分泌学的変化や心理社会的変化、パーソナリティが複雑に関与して発症し、症状は女性ホルモン欠落症状から精神神経症状、運動器症状、消化器症状、泌尿生殖器症状まで多岐に渡り、日常生活に支障を来たします。治療は病因を考慮し、ホルモン補充療法(HRT)、漢方療法などを行います。女性外来では丁寧な聞き取りと独自の症状評価スケールをもとに必要に応じて他科と連携しながら、症例ごとに最適なオーダーメイドの更年期診療を提供しています。
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)
HBOCはBRCA1/2遺伝子病的バリアントが原因の遺伝性疾患です。当院では本人の病歴や家族歴からリスク評価を行った上で、BRCA1/2遺伝学的検査を行っています。検査の前後に十分な遺伝カウンセリングを行います。BRCA1/2遺伝子病的バリアント陽性者に対するリスク低減卵巣卵管切除(RRSO)も行っています。
不妊症
タイミング療法から生殖補助医療までを広くてがけており、よくお話を伺った上で、患者さん毎の状態に応じた治療を行っています。
一般不妊治療では、年間で約300周期の人工授精(AIH)を行っています。
生殖補助医療(ART)としては、主としてIVF(体外受精)、顕微授精(ICSI)及び凍結融解胚移植を行っており、年間約200件の採卵治療を行っています。
2023年からは着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)も開始いたしました。
高度な生殖医療技術を追求していくことのみならず、不妊患者さんへのカウンセリングにも積極的に取り組んでいます。
詳しくは「生殖内分泌」ホームページを参照してください。
不育症
妊娠は成立するものの、流産や死産をくり返してしまう不育症患者さんに対し、系統的な検査を行った上で、病態に応じ、アスピリン・ヘパリン療法などの抗凝固療法を中心として行っています。累積成功率は約80%です。
新たな検査として、2023年より、ネオセルフ抗体検査や次世代シーケンサーによる流死産検体を用いた遺伝子検査、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)も開始いたしました。
詳しくは「生殖内分泌」ホームページを参照してください。
月経異常
思春期から成人に至るまで、月経に関連する異常(原発性無月経、続発性無月経、月経不順、不正性器出血、月経困難症等)に対する診療を行っています。診察やホルモン採血により状態の評価を行い、治療方針を決定しています。遺伝学的な検索が必要な無月経の方については、臨床遺伝専門医が診療を担当します。
がん・生殖医療
若年がん患者さんの中には化学療法や放射線治療等の治療の影響により、将来の妊娠の可能性が低下する、あるいはなくなってしまう患者さんがいらっしゃいます。当科ではそのような患者さんの妊孕性温存(将来妊娠できる可能性の温存)を目的とした『がん・生殖医療』を行っています。がん治療医(原疾患の主治医)と連携をとり、胚凍結、卵子凍結、卵巣組織凍結、精子凍結など、患者さんにとって最適な治療方法を検討し実施しています。
詳しくは「生殖内分泌」ホームページを参照してください。
ノンメディカルな卵子凍結
女性は健康であっても年齢とともに生殖能力の低下をきたすことが知られています。このような加齢に伴う妊娠可能性(妊孕性)の低下に備えるために卵子を凍結しておく事が可能であり、ノンメンディカルな卵子凍結や社会的卵子凍結、選択的卵子凍結などと呼ばれています。当院でも、このノンメディカルな卵子凍結治療を開始いたしました。
詳しくは「生殖内分泌」ホームページを参照してください。
AYA生殖カウンセリング
AYA(Adolescent and Young Adult)とは思春期および若年成人の略称であり15歳から39歳までの世代を指します。本外来では、がん生殖外来よりもさらに若年の患者様を対象としております。がん治療後に小児科で経過観察されていた患者様(がんサバイバーの方)が成長していく過程で経験する思春期の体調の変化に焦点を当て、将来妊娠する可能性の評価や学校生活や社会での活動などの支援・カウンセリングを行います。
妊婦管理
分娩数は年間約900例であり、正常のみならず様々な合併症妊娠に関しても他科との連携をとりながら妊娠管理を行っています。また、年間約400例の無痛分娩を行っています。合併症妊娠では、主として腎炎、糖尿病、甲状腺疾患、自己免疫疾患、呼吸循環器疾患、精神疾患合併妊婦などの妊娠管理を行い、安全に分娩ができるように配慮をしています。超音波検査、胎児MRI検査、絨毛検査、羊水検査などを用いた胎児の管理も充実しています。
母親学級・両親学級などを開設し、様々なニーズにもお応えしています。分娩時のご家族の立会いや無痛分娩なども行っております。(一定の条件があります)。
産後は希望に応じて、母児同室または異室制が選択できます。
出生前診断
現在15週-18週の時期に希望する妊婦に対してのみ、クアトロマーカー検査を実施しています。羊水検査・絨毛検査・NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)は胎児の染色体異常の可能性が高くかつ検査を希望する妊婦に対して遺伝カウンセリングを行った後に実施しています。また、超音波による胎児スクリーニング検査も行っています。その他の胎児異常が疑われる場合には必要に応じて遺伝カウンセリングを実施しております。
高齢妊婦管理
不妊、不育症治療後、また社会的状況などによる高年妊婦が多く、NICUとの連携も密な母児管理を行っています。
くわしくは産婦人科学講座ホームページをご覧ください。
合併症妊娠、無痛分娩、出生前診断(羊水検査、絨毛検査、NIPT、クアトロテスト、コンバインド検査)、胎児画像精密検査
生殖カウンセリング、がん生殖医療、早発卵巣不全等の妊孕性低下症例に対する治療、不妊症例に対する鏡視下手術(腹腔鏡・子宮鏡)
各種臨床試験や新規薬剤の治験、悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術・ロボット支援下手術、若年癌患者に対する妊孕性温存治療、家族性腫瘍に対する遺伝カウンセリング
更年期、思春期異常の管理、手術後閉経に対するホルモン補充療法、骨粗鬆症管理
No |
専門外来枠名称 |
概要 |
外来診察日 |
主な担当医師 |
---|---|---|---|---|
1 |
生殖カウンセリング |
不妊症、体外受精、早発閉経などについての情報提供 |
月〜金曜日 |
生殖担当医 |
2 |
不育症外来 |
不育症検査、治療 |
火曜日 |
生殖担当医 |
3 |
胎児診断、ハイリスク妊娠 |
胎児画像診断、ハイリスク・合併症妊娠管理 |
月〜金曜日 |
産科担当医 |
4 |
NIPT、及び周産期遺伝外来 |
NIPTに関してのカウンセリング、遺伝子検査 |
(遺伝診療部) |
佐村 修 |
5 |
腫瘍・遺伝カウンセリング |
家族性腫瘍についてのカウンセリング、遺伝学的検査 |
(遺伝診療部) |
矢内原 臨 |
6 |
女性外来 |
更年期障害、思春期異常 |
月・火・水・金曜日 |
永田 知映 |
7 |
腹腔鏡手術外来 |
婦人科腹腔鏡手術についての専門外来 |
月・水曜日 |
齋藤 良介 |
診療部長 |
岡本 愛光 |
---|---|
診療副部長 |
佐村 修 |
診療医長 |
岸 裕司、矢内原 臨、柳田 聡、竹中 将貴、西川 忠曉 |
診療医員 |
上出 泰山、髙橋 健、松井 仁志、永田 知映、川畑 絢子 |
産科 | 分娩総数899件 (正常分娩476件(52.9%)、帝王切開332件(36.9%)、吸引分娩81件(9.0%)) |
---|---|
生殖外来 | 患者数382人 (不妊症275人(72.0%)、不育症27人(7.1%)、手術など80人(20.9%)) |
婦人科 | 手術総数929件 ( 開腹手術210件(22.6%)、腹腔鏡下手術362件(39.0%)、他95件、日帰り入院262件、卵巣がん49件、子宮頸がん37件、子宮体がん71件)) |
(2023年)
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