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心臓外科

2023年05月18日 現在

部長から皆さまへ

 わたしは都立小石川高校卒業後、北海道大学に入学し、恵迪寮の六年間で人間関係の大切さを学び、北海道の大自然を謳歌しつつ、クロスカントリースキーの厳しい競技の世界も経験しました。卒後は北海道大学第二外科・循環器外科にて研修後、足かけ九年間ドイツ・ザールランド大学に勤務し、約4600例の手術に参加、うち1900例で執刀する機会に恵まれました。なかでも本邦ではまだ普及していない大動脈弁形成術に数多く接したのは貴重な経験でした。2013年12月からは心臓血管研究所に在籍した約4年半に心大血管手術628例の在院死亡率0.3%を達成することができました。そして2018年6月1日に日本で最も伝統ある教室を引き継いで、早5年が経とうとしていますが、同様に良好な成績を維持することができています。
 このような良好な成績は、わたしの従来からのポリシーである「ぶれない医療」、木で言えば力強い幹を持つことのお陰だと信じています。ハイリスク症例を安全に手術し、なおかつその効果を長期的に持続させて生命予後を改善するのに必要なのは「創の小ささ」や「心臓を止めないでやり遂げる」のを競い合うのではなく、患者さんのための最適な方法を柔軟に選択する能力ではないでしょうか?ますます複雑化する病態に細やかに対応するテーラーメード医療が脚光を浴びているのと同様です。すなわちこれこそ「見栄えファースト」、「技術ファースト」、はたまた「外科医ファースト」ではなく、「患者ファースト」の姿勢だと信じています。もちろん、長持ちする手術を安全に施行できることが担保されれば、小切開低侵襲手術や経カテーテル治療も大事なオプションと考えており、適応を慎重に選んで行っております。現在でもこの信条は揺らぐことはなく、本学の建学精神である「病気を診ずして病人を診よ」とも相通ずるものがあると思います。
 力強い幹をさらに支えているのは地中に広大に張り巡らされた根ですが、根は外からは見えません。陰ながら良好な成績を支えてくれる多くの優秀でプロフェッショナリズムにあふれたスタッフと共に、病に悩む患者さんが以前と同じ機能と生活の質を回復できることを唯一の目標としてわれわれは常日頃診療に従事しています。「慈恵で手術を受けて良かった」と、ひとりでも多くの患者さんに感じていただければ幸いです。

2023年4月吉日

診療内容

成人心臓外科

  • 大動脈弁疾患に対する大動脈弁形成術、大動脈弁置換術
  • 大動脈基部瘤・大動脈弁輪拡張症・マルファン症候群に対する自己弁温存大動脈基部置換術
  • 大動脈留・大動脈解離に対する大動脈置換術(基部、上行、弓部まで)
  • 大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁置換術 TAVR
  • 虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術等の血行再建術、左室形成術等の虚血合併症に対する手術
  • 僧帽弁疾患(感染性心内膜炎を含む)に対する僧帽弁形成術、僧帽弁置換術
  • 3D/4K内視鏡を用いた完全内視鏡下小切開低侵襲手術
  • 心房細動等に対する不整脈手術(MAZE手術、肺静脈隔離術、左心耳閉鎖術等)
  • 弁膜症、大血管疾患の術後長期経過観察

小児先天性心臓外科

  • 新生児・チアノーゼ性心疾患を含む先天性心疾患の根治手術・段階的姑息手術
  • 機能的単心室をはじめとする先天性心疾患に対する段階的フォンタン手術
  • その他小児先天性心疾患手術全般(体重1kg未満の低出生体重児動脈開存症を含む)
  • 成人先天性心疾患(青年期以降)に対する手術(初回・再手術、他院術後を含む)
  • 小児・青年期弁膜症に対する人工弁置換手術、弁形成術
  • 小児・青年期不整脈に対するペースメーカー植え込み、不整脈手術
  • 小児・青年期心疾患(希少疾患・フォンタン術後を含む)の長期経過観察、治療方針決定
  • 先天性心疾患女性における妊娠、出産管理(外来診察、入院管理コンサルテーション)


くわしくは心臓外科学講座ホームページをご覧ください。

当診療科の得意分野・特色

成人心臓外科

大動脈弁閉鎖不全症に対しては、 自己弁温存大動脈基部置換術を含む大動脈弁形成術に積極的に取り組み、 国内有数の症例数を誇ります。
大動脈弁狭窄症に対しては関連各科と連携したハートチームによる経カテーテル大動脈弁置換術TAVRを積極的に推進しております。
僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術では良好な長期成績を維持し、3D/4K内視鏡を用いた完全内視鏡下小切開低侵襲手術も適応を慎重に選んで行っております。
冠動脈疾患に対しては患者さんの状態に応じてオンポンプ ・ オフポンプバイパスを柔軟に選択し、 若年者では動脈グラフトを多用したバイパスを心がけています。
大動脈疾患に関しては、急性大動脈スーパーネットワーク重点施設として、関連各科と連携して 重症・緊急症例に365日 ・ 24時間対応しています。

小児先天性心臓外科

小児周産期医療を担う医科大学病院附属の母子医療センターの特性として、年齢別では1歳未満の新生児―乳児期手術が60-70%で概ね一定しています。
大学病院附属の母子医療センターとして近隣・関連の産科新生児科との連携により胎児診断例にも出生前より積極的に対応しております。
ファロー四徴症における自己肺動脈弁機能を最大限温存する最新の術式を含めた術式改良、ラステリー型手術における遠隔期再手術回避を念頭においた最適な治療方針の提案など長期にわたる最善な結果を追求しております。
成人循環器内科との連携でフォンタン・複雑先天性心疾患術後の不整脈治療にも力を入れております。
関東圏をはじめとする自治体小児専門病院からのキャリーオーバー患者さんについても積極的に受入れ、妊娠・出産をふくむ問題についても周産期医療との連携により健全なライフサイクルの支援に努めております。
心筋保護法は当初より開発研究に携わった統合的血液心筋保護法Blood cardioplegiaを小児にいち早く標準とすることで手術成績の安定に寄与し、学会医療安全管理委員会推奨方法として広く国内への普及にも貢献しております。
再建方法における自己組織を有効利用した再建など術式・補助手段の改良を通じさらなる向上を目指しています。
日本初の大学病院心臓外科講座として関東甲信越から希少疾患等の患者さんの術後長期経過観察・手術経験を通じて遠隔期の高い生活の質に寄与する学術成果を発信しています。

各専門外来・外来診療

No

専門外来枠名称

概要

外来診察日

主な担当医師

1

成人心臓外科初診外来

初診の(成人)患者様の治療方針決定

水曜(午前)

國原 孝

2

小児先天性心疾患外来

小児期先天性心疾患の術後フォローアップ(段階的手術をふくむ)

月曜(午前)

益澤 明広

3

成人先天性心疾患外来

成人期に達した先天性心疾患症例の診断と治療

土曜日(午前)

益澤 明広

4

ペースメーカー外来

ペースメーカー植込後症例のフォローアップ(成人患者様)

第2火曜日(午後)

長堀 隆一

診療スタッフ

診療部長

國原 孝

診療医長

長堀 隆一、儀武 路雄、松村 洋高、益澤 明広、有村 聡士

診療医員

高木 智充

実績

2022年治療実績

成人後天性心大血管手術症例 168例、小児先天性心大血管手術症例 22例、ペースメーカー手術 9例、TAVI手術 23例でした。

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