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医療安全管理指針

制定 平成 11年 3月 1日
改定 平成30年10月1日

1.基本方針

東京慈恵会医科大学附属病院(以下、当院とする)では、本学の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」を基本理念とした患者本位の、安全で良質な医療を実践している。しかし、医療の複雑化に伴い医療行為に関係する事故の危険性が高まっていることも事実であり、基本理念を実践するためにも、病院組織をあげて安全第一の意識を持った文化を醸成していかねばならない。そのためには、安全を高めるシステム構築は勿論であるが、全教職員が「医療行為とはミスやエラーを起こしうる不完全な人間である医療者が、不安定で個体差のある患者に、危険な環境で、危険な行為を行うことであり、そもそも100パーセントの安全は存在しない」という事実を認識し、安全確保を最優先として行動することが求められる。まずは個人が、自分が負う責任を自覚し、リーダーシップを発揮して安全対策に前向きに取り組むとともに、基本的な確認行為を習慣化し、個人の限界をカバーしながら良質で安全な医療を提供するチームワークの良いチームを作り上げることが大前提となる。

このような個人やチームが持つべき意識、取るべき行動を当院に勤務する全ての教職員及び委託・派遣職員に再認識させ、安全を第一とした良質で患者満足度の高い医療活動が行われる環境を整え、関係法令を遵守した改善・改革を推進していくことを当院の医療安全管理の基本方針とする。

2.組織と体制

医療安全管理のため、組織運営の管理者である病院長の下に、以下の医療安全管理体制を敷く。なお、規程に定めるもののほか、各組織の運営に必要な事項は別に定める。

  1. 病院としての医療安全対策の最終決定機関として病院運営会議の参加者による医療安全検討会を設ける。
  2. 医療の安全性を確保し、質の高い医療を提供するために、医療安全管理部門を設置する。
  3. 医療安全管理部門は、医療安全推進部と感染対策部とをもって構成され、当院における医療安全・感染対策を組織横断的に推進する。
  4. 医療安全推進部は、医療問題に関する調査・分析・指導・研修、院内で死亡した全患者の把握等を行うとともに、セーフティマネジメント委員会で決定された医療安全に関する実務を遂行し、感染対策部は、感染関連問題に関する調査・分析・指導・研修等を行うとともに、感染対策委員会で決定された感染対策に関する実務を遂行する。
  5. 当院全体の医療安全管理について検討・協議を行う組織横断的な委員会として、セーフティマネジメント委員会を設置し、下部に属するセーフティマネージャー会議、各ワーキンググループ、その他の臨時委員会とともに、医療安全全般に関する事項を審議する。
  6. 当院全体の院内感染対策について検討・協議を行う組織横断的な委員会として、感染対策委員会を設置し、感染対策全般に関する事項を審議する。
  7. 医療安全管理及び院内感染対策に関連する事例の分析や関連事項の企画立案情報共有を目的として、医療安全管理部門部門長を議長とする医療安全連絡会議をおく。
  8. 病院長は医療安全担当副院長を「医療安全管理部門部門長」並びに「医療安全管理責任者」に任命し、医療安全・感染対策の推進に必要な以下の役割を担わせる。
    1. 医療安全管理部門全体の業務の指示・管理
    2. 附属4病院の医療安全推進部・感染対策部、あるいは医療安全推進室・感染対策室の統括
    3. セ-フティマネジメント委員会委員長としての委員会統括
    4. その他、医療安全推進・感染対策に必要な方策の実施指示・支援
  9. 病院長は医療安全に関する十分な知識を有する専従の看護師等を「医療安全管理者」に任命し、医療安全の推進及び安全管理に必要な以下の役割を担わせる。
    1. 医療安全管理部門の業務についての企画立案及び評価
    2. 定期的な院内巡回による各部門における医療安全対策の実施状況の把握と分析、並びに医療安全確保に必要な業務改善等の具体的な対策の推進
    3. 各部門における医療事故防止担当者への支援
    4. 医療安全対策の体制確保のための各部門との連携及び調整
    5. 医療安全対策に係る体制確保のための研修の企画と実施
    6. 患者相談窓口担当者等と連携した医療安全対策に係る患者・家族の相談への適切な対応
    7. 他特定機能病院との相互立入り及び技術的助言の受け入れと、それに基づいた院内安全管理体制の改善
    8. その他、医療の安全確保を目的とした改善のための方策の実施
  10. 病院長は医薬品に関する十分な知識を有する専従の薬剤師を「医薬品安全管理責任者」に任命し、医薬品安全管理に必要な以下の役割を担わせる。
    1. 医薬品の安全使用のための業務手順書の作成と管理
    2. 教職員に対する医薬品安全使用のための研修の実施と記録
    3. 医薬品の業務手順書に基づく管理・使用状況の確認と記録
    4. 医薬品の安全使用のために必要な情報の収集
    5. その他、医薬品の安全確保を目的とした改善のための方策の実施
  11. 病院長は医療機器に関する十分な知識を有する医師を「医療機器安全管理責任者」に、また臨床工学技士を「医療機器安全管理実務責任者」に任命し、医療機器安全管理に必要な以下の役割を担わせる。
    1. 教職員に対する安全操作教育が必要な医療機器に関する定期的研修の実施と記録
    2. 医療機器の保守点検に関する計画の策定、適切な保守点検の実施と記録
    3. 医療機器の添付文書、取扱説明書等医療機器の安全使用、保守点検に関する情報整理と管理
    4. 医療機器の不具合情報や安全性情報等の一元的収集と医療機器取扱者への適切な情報提供
    5. 管理医療機器の不具合や健康被害等に関する内外の情報収集と関係法令に留意した病院長への報告
    6. その他医療機器の安全使用に関する案件
  12. 病院長は院内感染対策に関する十分な知識を有する日本看護協会認定感染管理認定看護師を「院内感染対策担当者」に任命し、院内感染対策に必要な以下の役割を担わせる。
    1. 病院全体における感染管理に関する企画立案及び評価
    2. 病院感染サーベイランスの実施と医療処置に関連する感染対策の向上
    3. 感染に関わる問題発生時の迅速・適切な対応
    4. 感染対策に関わるマニュアルの作成と運用
    5. 職業感染対策に関する企画立案及び評価
    6. 感染対策に関するコンサルテーション及び研修の企画と開催、広報による全教職員に対する教育・啓発活動
    7. その他、感染対策に関わることへの対応
  13. 特定機能病院として特に高度かつ安全な医療を提供することを目的として下記の委員会を設置する。
    1. 医療安全管理体制に対する外部からのガバナンスを確保するための、管理課を担当部門とする外部委員を交えた医療安全監査委員会
    2. 未承認新規医薬品等の使用の適否を決定するための、医療安全管理部を担当部門とする未承認新規医薬品等審査委員会
    3. 高難度新規医療技術を使用する医療行為の是非を日本医学会等が作成した「高難度新規医療技術の導入に当たっての医療安全に関する基本的な考え方」を参考に判断するための、医療安全管理部を担当部門とする高難度新規医療技術審査委員会

3.医療に係る安全管理のための職員研修

  1. 医療安全管理部門は、医療事故・院内感染防止に係る全教職員の意識改革と安全管理意識の高揚を図るとともに、組織横断的な医療安全活動の推進を目的とした全教職員を対象とした教育・研修の機会を企画・運営し、実施後の評価と改善を行う。
  2. 研修会を必修研修と選択研修に分け、病院部門に勤務する職員は、医療安全・感染対策にかかわる研修会を、それぞれの必修研修会1回以上を含む年2回以上受講することとする。
  3. 病院長・医療安全管理責任者・医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者は、定期的に医療安全管理にかかわる外部研修を受講することとする。

4.用語の定義

医療現場での出来事に関する用語を以下の様に定める。

  1. 医療事故とは、医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての予定外の結果を示し、医療従事者の過誤や過失の有無は問わず、合併症や偶発症、並びに回避不可能事例や医療従事者が不利益を被った場合もこれに含まれ、その発生状況や患者への有害事象の有無によりインシデントとアクシデントに分けられる。なお、医療事故調査制度を定める医療法に基づく医療事故とは、「提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」であり本指針での医療事故の定義とは異なることに留意する。
  2. 合併症とは、医療行為の結果ある一定の頻度で発生する既知の出来事を、偶発症とは医療行為の結果事前には予想されなかった出来事を示す。
  3. インシデントとは、ある医療行為が実際には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば何らかの被害が予測された出来事、あるいは、ある医療行為が実際に実施されたが、結果として被害がなく、またその後の観察も不要であった出来事を示す。アクシデントとは、ある医療行為が実際に実施され、その結果患者に何かしらの影響を及ぼした出来事を示す。生じた影響の大きさに応じて、インシデントやアクシデントをレベル0から5に分類する(資料4)。オカレンスとは、発生した出来事全てを示す用語であり、報告するオカレンスを決めて積極的に報告させるシステムをオカレンスレポーティングシステム(資料3)と呼ぶ。
  4. 基本的安全行為とは、安全を高めるために当院に勤務する教職員全員が習慣化すべき行為の総称であり、完全・明瞭・具体的に発信するハンドオフ、受け手が復唱し発信者の責任で会話を閉じるチェックバック、意識的に確認する指さし声だし確認、相手に自ら名前を言わせる名前の確認、確実に確認するダブルチェック、構造化して発信するISBARなどがある。

5.医療事故発生時の報告・対応

医療事故発生時には、その内容を病院として把握し、適切な対応をとると共に、それを基にしたさらなる安全推進策を講じるため以下の様に報告・対応する。

  1. 報告制度の目的は、医療機関として院内各所で発生した、あるいは発生しそうになった医療事故を早期に把握し、関係者の安全確保、原因究明、再発防止策の立案などに役立てるための有用な情報を提供することである。個人の責任追及が目的ではないため、医療事故を報告した職員に対しては、これを理由に不利益となる処分は行われない。
  2. 医療事故発見者は、レベル0からレベル2までの場合には部門セーフティマネージャーに、レベル3以上の場合には部門セーフティマネージャー、所属長,医療安全推進部に連絡するとともに、24時間以内にSafe Master® に入力する。なお、Safe Master® に入力できない場合は、医療事故発生報告書を用いて24 時間以内に医療安全推進部に報告する(資料5-1、資料5-2)。
  3. レベル3b以上の医療事故発生時には、所属長並びに医療安全推進部は、病院長、医療安全管理部門部門長へ報告し指示を仰ぐ。
  4. 医療事故発生時には患者安全を最優先として対応するとともに、患者・家族に正確に事実を説明する。また、関係者は医療安全推進部と共に原因、対策、再発防止案などを検討する。
  5. 医療事故の内容や経過は、説明日時、説明者氏名、患者側出席者氏名、患者との続柄、説明内容、質疑応答内容と共に、診療録、看護記録、病状説明用紙などに正確に記載する。

6.重大な医療事故発生時の対応

特に重大な影響を及ぼした可能性がある医療事故が発生した際は、以下のように対応する。

  1. 当院の総力を結集して患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くし、当院のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の専門機関の応援を求め、必要なあらゆる情報、資材、人材の提供を受ける。
  2. 過失のある事故発生前後に当該患者に使用した薬剤、医療器具、医療機器設定値については事故発生時の現状をできる限り保存する。
  3. 患者・家族などに対して医療スタッフは医療事故に関する事実のみ正確に伝え、組織としての対応や責任などについては言及を控えるとともに、病状説明用紙以外の念書等文書の提出や医療費免除要求に関しては即答せず、診療部長及び医療安全推進部を窓口として病院長の判断を仰ぐ。
  4. セーフティマネジメント委員会委員長は緊急セーフティマネジメント委員会あるいは緊急事例検討会を招集し、可及的速やかに、事故原因、事故発生後の処置内容並びに対応を検討し、見解を病院長に報告し了承を得た後、それに基づいて患者あるいは家族に説明する。なお、説明を単独で行うことは避け、診療部長あるいは代行者が、複数で事実経過についてのみ誠意を持って説明する。
  5. 医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、管理者がその死亡を予期しなかった事例が発生し、病院長が医療事故調査制度届け出対象事例と判断した場合は、医療安全管理部門が医療事故調査センターに届け出るとともに、病院長は医療事故調査委員会を招集し審議を指示する。
  6. 医療安全管理部門部門長が届け出対象であると判断した重大事例については、医療安全推進部が速やかに財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止センター、厚生労働省関東信越厚生局、文部科学省高等教育局及び東京都福祉保健局医療政策部医療安全課へ届け出る。
  7. 異状死体と判断された場合は、「東京慈恵会医科大学附属病院警察届出死亡事例の届け出ガイドライン」に準拠して対応する。
  8. 医療事故等の公表については、「東京慈恵会医科大学附属病院医療事故等公表判定委員会規程」に準拠して対応する。

7.患者との情報共有

  1. 医療の安全を推進するために患者を医療チームの一員ととらえて、情報共有に努めると共に安全推進活動に参加するよう依頼する。
  2. 患者との情報共有のため、患者が理解できる方法で具体的に説明するとともに、説明内容をカルテに記録する。
  3. 画像診断・内視鏡検査・病理検査などの報告書は原則として印刷して患者に交付する。
  4. 診療録の開示請求があった際は診療情報の開示に関する規定に基づき対応する。
  5. 当院に寄せられる患者の苦情等について迅速に対応するとともに、患者の意見や要望を当院の医療安全管理に積極的に反映させるため、患者相談窓口を活用する。

8.基本指針の開示

本指針はインターネットホームページに掲載するとともに、患者あるいは家族から現物の閲覧希望があった場合はこれに応じるものとし、管理課が対応する。

9.他の特定機能病院あるいは他の附属病院との連携

  1. 医療に係る安全管理の改善に役立てるため、他の特定機能病院との医療安全管理体制についての相互調査を年に1回以上行う。
  2. 東京慈恵会医科大学附属4病院における医療安全管理の連携を強化し、附属病院全体の総合的な医療安全の推進に寄与するため、定期的な情報交換の場を設ける。

10.医療安全監査委員会の設置

安全な医療安全管理体制の確保を目的として、外部委員を含む医療安全監査委員会を設置し、定期的に評価を受け改善につなげる。本委員会の詳細は別途定める。

11.本指針の改定等

セーフティマネジメント委員会は少なくとも年1回以上本指針の内容を審議し、改定等の必要がある場合は病院長の承認を受け改定する。

附則

附則 本指針は、平成30年10月1日より施行する。

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