2024年04月01日 現在
腎疾患は、さまざまな全身性疾患の初期症状として現れることも珍しくありません。なかなか原因の分からない日常生活におけるさまざまな症状が尿検査をきっかけとして確定診断に結びつくこともあります。そのような腎臓を窓口とした全身管理が私たち腎臓専門外来の役割と考えています。
私たちの外来では、健診や学校検尿などの尿検査で血尿や蛋白尿を指摘されたお子さまだけではなく、胎児期から先天性腎尿路異常を疑われているお子さまから、夜尿、昼間尿失禁などで学校生活にお困りのお子さまやご家族まで、さまざまなきっかけで腎臓の病気を発見されたすべての患者さんを対象としています。
診療医員/講師 平野 大志
3歳児検尿、学校検尿などで異常を指摘された方には外来にて検尿(早朝尿)、血液検査、エコー検査などを行い、必要に応じて精密検査を行います。検尿による経過観察のみで大丈夫なお子さまも数多くいらっしゃいます。医療行政とのかかわりとしては東京度の予防医学協会と連携をとり、腎臓病の早期発見と早期治療に力を入れています。
腎疾患の糸球体腎炎・ネフローゼ症候群は、日本小児腎臓病学会のガイドラインに準拠した標準的な治療を基本とし、難治性ネフローゼ症候群に対してはリツキシマブ療法などの治療も積極的に行っています。診断目的や治療効果の評価目的なども含め、年間15件前後の腎生検を行っています。
一般的に5~6歳以降になっても夜間睡眠中に無意識に排尿することを「夜尿症」と呼んでいます。その頻度は6歳で5、6人に1人、10歳で10人に1人と決して珍しくなく、本人は人知れず悩み、自信までなくしていることが少なくありません。夜尿症は継続的な治療を行えば、頻度を減らしたり、治療を受けない場合よりも早く夜尿が解消したりすることが期待できます。
また昼間もおもらしをしてしまう「昼間尿失禁」も多くのお子さま、ご両親が悩まれている症状の一つです。学校行事、お友だちとのお泊りなど、相談をさせてもらいながら楽しく元気に生活ができるようにお手伝いさせていただきます。
乳幼児の発熱の原因として尿路感染症は大切な疾患の一つです。急性期は主に入院での治療を行い、感染症を起こしうる先天的な尿路の異常がないかどうかを調べさせていただきます。外来では内科的治療および必要に応じて小児外科と連携をとり外科的治療も行う場合もあります。また、胎児期に発見された水腎症や包茎でお悩みのお子さまの診療も行っています。
腎炎・ネフローゼ | 急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、紫斑病性腎炎、ANCA関連腎炎、特発性ネフローゼ、頻回再発型ネフローゼなど |
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尿細管疾患 | 尿細管性アシドーシス、腎性尿崩症、Dent病など |
腎不全 | 急性腎障害(AKI)、慢性腎臓病(CKD) |
腎・尿路奇形 | 膀胱尿管逆流症、後部尿道弁、馬蹄腎、重複尿管など |
尿失禁・頻尿 | 夜尿症、過活動膀胱、心因性頻尿 |
その他 | 学校検尿異常(タンパク尿・血尿)、溶血性尿毒症症候群、尿路結石、遺伝性多嚢胞腎(ADPKD・ARPKD)、Alport症候群 |
尿の異常 | 尿の色がおかしい(赤・コーラ色)、尿が出ない・少ない |
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全身の症状 | 体がむくむ、体重増加、のどが渇く、排尿時痛 |
その他 | 学校検尿で異常、尿路感染を繰り返している |
No |
専門外来枠名称 |
概要 |
外来診察日 |
主な担当医師 |
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1 |
腎臓外来 |
さまざまなきっかけで腎臓の病気を発見されたすべてのお子さまを対象として診療 |
第2・4木曜日 |
平野 大志 |