平成27年度 東京慈恵会医科大学附属病院 病院指標

DPCデータにより全国統一の病院指標を作成し公開することで、当院の特徴や体制について理解を深めていただくことを目的としています。

◆DPC(診断群分類別包括制度)とは
DPC(Diagnosis Procedure Combination)の略で、医師が決定した主病名に基づき、入院患者さんの一連の医療行為を、
国で定めた1日あたりの定額の点数から入院医療費を計算する制度です。

◆指標の主な定義
・平成27年度(平成27年4月~平成28年3月)に当院の一般病棟を退院された患者さんのデータが対象になります。
・10未満の数値の場合は、-(ハイフン) を記入しています。

本指標に関するお問い合わせは、当院診療情報室へお願いします。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード

◆当院のDPC対象患者さんの年齢階級別10歳刻みの退院患者数です。

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,081 558 970 2,114 2,970 3,634 5,489 4,808 2,162 245
 平成27年度の全退院患者数は24,031人と、平成26年度に比べて919人増加しました。
 過去3ヵ年間の推移で最も多い年齢層は60~69歳、次いで70~79歳で、60歳以上の患者さんの割合は51%を占めています。地域周産期母子医療センターを有する当院の小児医療については、0~9歳の患者さんは5%前後で推移しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

◆各診療科別に症例数の多いDPC14桁分類入院についてDPCコード、DPC名称、患者数、平均在院日数、
  全国の平均在院日数、転院率、平均年齢、解説を示しております。
◆一般病棟の中における転科においては、主たる診療科は医療資源を最も投入した傷病の診療科で集計しております。

小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く) 1歳以上 手術なし 処置1:心臓カテーテル法による諸検査 処置2なし 37 5.68 4.52 0.00% 8.84
010010xx99000x 脳腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 28 1.21 11.08 0.00% 5.14
010230xx99x00x てんかん 手術なし 処置2なし 副傷病なし 20 8.95 7.03 0.00% 8.05
 先天性心疾患では、心室中隔欠損症を始め、単心室症などの複雑型心疾患を対象に術前術後の集中治療管理を行っております。経年的な全身管理が必要であり、成人期に至った患者さんに対しても定期的なカテーテル検査及び治療を行っております。
 小児脳腫瘍では、小児科、脳神経外科、放射線科が連携して多彩な脳腫瘍に対する集学的治療を行っています。病状評価のために不可欠なMRI検査で鎮静が必要な場合には日帰り入院で対応しています。
 てんかんでは、乳児期から成人期まで幅広い年齢層を対象に他診療科との合同症例検討会を通じて包括的医療を行っています。長時間ビデオ脳波同時記録や核医学検査を短期入院で実施しております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xx0x 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) 人工関節再置換術等 副傷病なし 152 22.34 24.95 0.66% 65.34
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節再置換術等 96 36.91 27.21 4.17% 73.71
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む) 腱縫合術等 78 11.47 11.98 0.00% 29.51
 当科では、脊椎、手、肩、股、膝、足関節などに分かれた各領域の専門家が診療にあたっております。高齢者の増加に伴い、下肢関節の変形性関節症や骨粗鬆症に伴う骨折(大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折など)、脊椎の変性疾患が増加しており、積極的に受け入れております。そのため、多くの人工関節手術や骨折手術、脊椎手術を行っています。
 また、当院ではスポーツウェルネスクリニックがあるため、スポーツ外傷も比較的多く、関節鏡による手術を積極的に行っております。
 専門性の高い、的確な治療を、より迅速に提供し、多くの患者さんの利益に寄与できるように努力しております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1:動脈造影カテーテル法(選択的に造影撮影) 処置2なし 285 2.08 3.15 0.00% 58.91
010030xx03x00x 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 処置2なし 副傷病なし 171 7.77 10.08 0.00% 59.37
010030xx01x00x 未破裂脳動脈瘤 脳動脈瘤頸部クリッピング等 処置2なし 副傷病なし 43 13.16 16.15 0.00% 60.88
 脳神経外科症例数の1位は、未破裂脳動脈瘤:動脈造影カテーテル法(選択的に造影撮影)、症例件数は285件、平均在院日数(自院)2.08日、平均年齢は58.91歳でした。2位は未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術であり、症例件数は171件、3位は未破裂脳動脈瘤 脳動脈瘤頸部クリッピング等であり、症例件数は43件でした。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070020xxxx0xxx 神経の良性腫瘍 処置1なし 42 11.43 8.62 0.00% 45.26
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 32 10.94 11.97 0.00% 59.25
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 処置1なし 25 4.88 4.38 0.00% 56.36
 当科では神経線維腫症1型の様々な症候に対する対応法の蓄積があります。その一環として、神経維腫症1型の患者に生じる各種の神経線維腫に対する外科的治療を行っています。また、皮膚にはさまざまな組織に由来する腫瘍性病変が生じます。これらに対しても正確な病理診断のもとで、外科的治療を行っています。
 さらに、急性膿皮症に分類される蜂窩織炎、丹毒などの細菌性皮膚感染症に対して重症度に応じて入院で対応しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx9903xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2:密封小線源治療(3) 132 2.42 4.30 0.00% 67.16
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置1なし 処置2なし 113 6.58 7.59 0.00% 68.91
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 処置2なし 113 12.09 14.03 0.88% 64.81
 当科では前立腺癌の治療として、手術療法、放射線治療を多く行っております。放射線治療は外照射と組織内照射に分類されますが、なかでも後者に分類される密封小線源治療を多く行っております。手術療法では腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術を多く行っており、二酸化炭素で気腹することにより出血量、手術侵襲を少なくし、術後の早期回復を見込める術式となっています。
 次に多く行われているのは表在性膀胱腫瘍に対する経尿道的手術です。膀胱癌は再発しやすい疾患であり、筋層浸潤性膀胱癌に進展しない限り、再発時は経尿道的手術を行っております。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2:パラプラチン+タキソテール等(5) 副傷病なし 216 5.25 5.17 0.00% 55.64
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 144 8.56 10.18 0.00% 43.35
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 処置2:化学療法ありかつ放射線療法なし(4) 副傷病なし 136 5.23 5.33 0.00% 57.15
 最も症例数が多かったのは卵巣癌に対する化学療法です。卵巣癌の初回化学療法はTC(パクリタキセル+カルボプラチン)療法を行っています。再発の症例には症例毎に検討を行い、分子標的薬(ベバシズマブ)を含めた化学療法を行っています。
 次に多かったのは子宮の良性腫瘍です。主に子宮筋腫、子宮腺筋症に対する手術症例です。
 3番目に多かったのは子宮頸癌・子宮体癌に対する化学療法(放射線療法を除く)です。当科では子宮体癌の初回化学療法はAP(アドリアマイシン+シスプラチン)療法を行っています。子宮頸癌・子宮体癌の再発症例では卵巣癌と同様に症例毎に検討を行い、化学療法を行っています。今後、化学療法は積極的に外来点滴室で実施する予定です。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 143 10.02 11.08 0.00% 53.09
020290xx97xxxx 涙器の疾患 手術あり 93 3.44 5.18 0.00% 64.05
020150xx97xxxx 斜視(外傷性・癒着性を除く) 手術あり 62 3.77 3.38 0.00% 20.77
 当科の手術件数第1位は、網膜剥離です。主な手術は、硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)です。25、27ゲージの小切開手術により、低侵襲、短時間手術により早期視力回復、社会復帰が可能となっています。
 当科の手術件数第2位は、涙器の疾患です。主な手術は、涙菅チューブ挿入術(涙道内視鏡)です。涙道内視鏡を使用し、術野を可視化することにより、手術の安全性だけでなく、治療成績の向上も認め、当初より短期入院が可能となっています。
 当科の手術件数第3位は、斜視(外傷性・癒着性を除く)です。手術成績も安定し、術後経過も良好で、短期入院が可能となっています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 667 6.72 7.76 0.00% 50.04
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 167 6.29 10.12 0.00% 41.47
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 114 6.56 7.24 0.00% 39.95
 慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻内副鼻腔手術においては、当科は内視鏡を導入した本邦での草分け的存在であり、手術件数は年間約600例以上と卓越しています。喘息やアスピリン喘息合併慢性副鼻腔炎、副鼻腔乳頭腫などの易再発性の副鼻腔疾患に対しても積極的に手術を行い、高い治療効果が得られています。
 また、慢性中耳炎や中耳真珠腫に対する鼓室形成術においても、生理的な外耳道形態の保持に努めた術式で、聴力改善手術を施行しており、良好な治療成績を得ています。
 鼻科手術、耳科手術ともに優れた治療成績と短い入院期間が特徴です。
心臓外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 処置1なし 処置2:中心静脈注射等(1) 副傷病なし 24 26.54 25.69 4.17% 66.58
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 処置2:中心静脈注射等(1) 12 55.83 32.27 0.00% 69.25
050130xx99000x 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 10 18.00 18.30 10.00% 77.00
 当科における大きな特徴としては、小児先天性心疾患と成人後天性心疾患を担当する2つのチームが、同一科内で協力し診療にあたっていることがあげられます。弁膜症の治療は当科創設以来の大きな柱であり、年齢を問わず適切な治療を行っており、特に僧帽弁を中心に自己弁を温存する形成術を積極的に導入しています。手術治療だけでは無く、弁膜症にともなった心不全の内科的治療にも充分な対応を行っており、患者さん全体を見渡した総合的な治療を行っています。また、弓部三分枝の再建を伴う胸部大動脈瘤の手術は高度な技術と管理が要求されますが、各科、各部門との協力の下、良好な成績を上げています。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 処置2:I131内用療法(2) 82 3.07 6.82 0.00% 57.48
100020xx99x00x 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 処置2なし 副傷病なし 8.68
 甲状腺癌は全悪性腫瘍の1%程度でありさほど頻度は高くありませんが、再発や転移に対する効果的な治療法は少ないのが現状です。
その中で手術後最も効果の高い治療法がヨード131による治療です。ただし、甲状腺癌に対するヨード131の内用量法が可能な施設は全国的に極めて限られており、当科は古くからこの治療に積極的に取り組んでいる都内でも数少ない施設のひとつです。当院では専用の病室を3床持ち、通常3日程度入院で治療を行います。当科における待機期間の平均は5ヵ月以上で、半年から1年ごとに受ける患者さんが多いのが特徴です。
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010069xx99000x 脳卒中の続発症 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 37 12.84 10.85 0.00% 54.43
010069xx9902xx 脳卒中の続発症 手術なし 処置1なし 処置2:SPECT等(2) 12 13.75 19.44 0.00% 59.17
161040xxxxxxxx 損傷の続発性、後遺症 15.34
 脳卒中は死因の第4位ですが、寝たきりの原因の第1位です。つまりは、脳卒中による多くの後遺症に悩んでいる方が多くみえるということです。当科は、その脳卒中後遺症で悩んでおられる人を多く診察しています。反復性経頭蓋磁気刺激と集中訓練を組み合わせた治療体系は世界に先駆けて作成したものであり、海外でも教科書として出版されています。全国からみえる患者さん、特に上肢麻痺、失語症、嚥下障害の方々に施行しています。
内視鏡内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 処置2なし 94 8.45 9.20 0.00% 70.69
060100xx03xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的消化管止血術等 副傷病なし 42 3.21 2.76 0.00% 61.90
060010xx02x00x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む) 内視鏡的食道粘膜切除術等 処置2なし 副傷病なし 32 8.34 10.17 0.00% 65.22
 当科には、国際的にも評価の高い臓器別内視鏡専門医チームが所属し、最先端の医療機器を用いた早期消化管癌に対する低侵襲診断治療を実施しています。すでに、年間の内視鏡実施件数は2万件を超えておりますが、社会の高齢化に伴い、消化管癌の症例数は増加し、内視鏡へのニーズも、さらに高まっています。当科では、更なる安全性の向上と低侵襲化を目指し、新たな機器の開発や苦痛を軽減する鎮静方法の工夫などに積極的に取り組んでいます。
 また、内視鏡診断・治療のみでは解決できない場合にも、中央診療部門として消化器内科や消化管外科と横断的に密に連携し、入院時にも迅速な対応が可能です。
消化器・肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) その他の手術 処置2なし 103 12.04 11.98 0.00% 72.19
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 77 7.95 7.91 0.00% 59.04
060300xx99x00x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む) 手術なし 処置2なし 副傷病なし 69 10.65 14.14 0.00% 62.81
 当科で最も多い症例は、肝細胞癌の治療症例で、主にカテーテルを用いた肝動脈化学塞栓療法を行っておりますが、局所療法が可能な方には経皮的ラジオ波焼灼療法や経皮的エタノール注入療法を適宜追加しております。
 次に多い症例は、大腸憩室疾患で、憩室炎、憩室出血ともに対応しております。憩室炎の場合には、適切に診察と腹部CT検査を行い穿孔などの有無を評価し、必要な際には消化器外科と相談しながら治療にあたっています。憩室出血は、24時間体制で内視鏡的止血術を施行しておりますが、難治例では放射線科に適宜相談してカテーテル的止血術も行っています。
 3番目に多い症例は肝硬変で、原因はB型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、アルコールなど多岐にわたっています。主に、肝機能改善や腹水軽減などを目指した治療を適宜行っています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099000x 脳梗塞 JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 73 12.25 15.80 8.22% 64.99
010060x099030x 脳梗塞 JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2:ラジカット(3) 副傷病なし 63 16.48 18.08 25.40% 68.56
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 処置2なし 29 6.59 6.30 0.00% 62.28
 当科において最も多い疾患は急性期脳梗塞となっています。発症早期に来院され、血栓溶解療法や血栓をカテーテルで取り除く血管内治療を行えば、後遺症を少なくすることができます。一方、手足の脱力、歩行や呂律の障害などが一時的にみられた場合でも、脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作の可能性があります。この疾患は、見過ごしてしまうと高い確率で脳梗塞を発症するリスクがあり、入院していただき治療や検査を行います。
 また、パーキンソン病をはじめとした脳変性疾患も多く入院されています。脳変性疾患は各疾患で予後や治療法が異なります。そのため早期の正確な診断は大切であり、当科では適切な検査を行い、病状に合った治療法を選択することができます。
腎臓・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 149 11.53 13.64 0.67% 64.17
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1:経皮的針生検法 副傷病なし 75 9.17 7.47 0.00% 49.88
180040xx02x0xx 手術・処置等の合併症 内シャント血栓除去術等 処置2なし 37 5.73 3.40 0.00% 65.49
 当科では、慢性腎臓病(CKD)患者さんの治療について、透析を受けていない保存期から透析、そして腎移植まで、連続的に、かつ幅広く行っています。保存期CKD患者さんについては、積極的に腎生検による病態解明を行い、薬物療法、食事療法、生活指導などの集約的治療により腎疾患の治療や進展抑制に努めています。
 透析が必要になってしまった患者さんについても、心血管系疾患などの透析合併症を減らし、安全に透析が行えるよう、内科的治療のみならず、血液透析用シャント関連手術や腹膜透析用カテーテル関連手術といった外科的処置も積極的に行っています。
リウマチ・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 処置2なし 55 31.47 18.15 0.00% 53.64
070470xx99x5xx 関節リウマチ 手術なし 処置2:アクテムラ等(5) 13 4.08 6.72 0.00% 55.69
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 処置2なし 10 16.50 14.90 0.00% 65.50
 全身性臓器障害を伴う自己免疫疾患(膠原病など)は、発症時に入院が必要な全身状態である例があります。また、初期治療に高用量のステロイドを用いる場合は、日和見感染症等の合併症の懸念から寛解後もステロイドが減量できる迄入院継続が必要です。入院期間短縮の為に、迅速な診断を行い早期に治療導入し、また合併症の危険を減らす為にも高用量ステロイド投与を長期化させないことを目指します。
 関節リウマチの生物製剤(点滴製剤)導入は、重篤な投与時副反応の有無を確認する為に原則的に一泊入院としています。
 関節リウマチや膠原病の治療は免疫抑制治療が主体で、感染症(主に呼吸器系)等の合併症で入院が必要となる場合があります。
糖尿病・代謝・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 201 12.18 15.35 0.00% 60.29
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 45 12.38 14.30 0.00% 52.13
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 43 8.47 6.55 0.00% 55.14
 当科は、糖尿病診療において、日本を代表する基幹施設です。従って、合併症が進行した2型糖尿病患者の入院、インスリン導入が必要な2型糖尿病患者の入院が多くみえます。
 次に、病院自体がハイリスク妊娠を受け入れる機会が多いため、妊娠糖尿病患者を担当することが必然的に多くなります。当科としても、妊娠糖尿病患者を対象にインスリン導入ならびに食事療法を目的とした入院を多々担当しております。
 また、欧米に比べ我が国における患者数が著しく少ない1型糖尿病の診療においても、発症直後の入院加療ならびに糖尿病ケトアシドーシスなどの急性合併症の入院治療を多く担当することが、当科の特徴です。
 内分泌疾患に関しては、特に副腎関連の負荷試験を入院にて積極的に行っております。
腫瘍・血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2:リツキサン(4) 副傷病なし 83 17.58 17.69 0.00% 69.19
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 処置2:化学療法(2) 57 66.95 43.59 7.02% 54.72
130030xx99x00x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2なし 副傷病なし 23 13.35 10.85 0.00% 62.61
 当科の入院症例は造血器悪性腫瘍(急性白血病・悪性リンパ腫など)が多数を占めます。元来免疫能や造血能が低下しているこのような患者さんに強力な抗がん薬治療を行うため、その副作用対策として種々の輸血や抗微生物薬の投与が必須となり、入院治療、観察が必要です。
 特に急性白血病では、免疫能や造血能が著しく低下しているため、悪性細胞を排除して正常骨髄機能を回復(完全寛解)するのに、通常3ヶ月以上を要します。効果なき場合(不効)は、さらに長期入院が必要です。またリツキサンのようなアレルギー作用の強い治療薬は、致命的過敏症を発現するために、初回投与時は入院での試行が必要です。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 処置2なし 457 4.57 5.68 0.00% 56.77
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 処置1:心臓カテーテル法による諸検査 処置2なし 副傷病なし 224 3.48 3.07 0.00% 65.37
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 処置1なし 処置2なし 209 4.97 4.87 0.00% 66.59
 狭心症は心臓を栄養している冠動脈という血管が狭くなって起こる疾患です。動脈硬化や攣縮によって生じます。その検査や治療は、カテーテルという細い管を用いて観血的ではありますが、比較的に低侵襲で行います。当院では救急対応を含めて24時間体制で狭心症や心筋梗塞に対するカテーテル検査や治療を行っております。
 当院では経皮的カテーテル心筋焼灼術という不整脈の根治術に積極的に取り組んでおります。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9904xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2:化学療法ありかつ放射線療法なし(4) 205 13.34 13.38 0.49% 67.25
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 15歳以上 手術なし 処置2なし 56 17.64 14.34 0.00% 68.73
040040xx9907xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2:アリムタ(7) 49 14.69 12.92 0.00% 64.45
 我が国では肺癌の増加が著しく、2014年のがん死亡中の第1位(約73,000人)です。肺癌の治療は、内視鏡検査等の病理検査とCT等の画像検査によりその組織型と病期を診断し、さらに患者さんの全身状態を評価して決定します。遠隔転移のある進行症例でも分子標的薬の進歩により予後の改善が認められています。治療方針は、呼吸器内科のカンファレンス及び呼吸器外科、放射線科との合同カンファレンスを行い決定しています。
 肺炎は本邦死亡原因の4番目の疾患で、そのほとんどが高齢者です。迅速診断キットや喀痰検査により病原菌を同定し、適切な抗菌薬治療を行います。重症な循環・呼吸不全がある場合はICUにおいて呼吸・循環管理を含めた高度集中医療も行います。
消化管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術等 処置2なし 65 12.78 16.02 0.00% 65.66
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 58 2.83 7.38 0.00% 57.90
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし 処置2なし 57 14.93 17.41 0.00% 69.07
 当科の診療内容は、上部チームが胃癌、食道癌、胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、アカラシア、胃粘膜下腫瘍(胃GIST含む)、食道粘膜下腫瘍など、下部チームが結腸癌、直腸癌、大腸ポリープ、腸閉塞、 急性虫垂炎、大腸憩室炎、痔核、痔瘻、腹壁瘢痕ヘルニア、鼠径ヘルニア、 大腿ヘルニアなど多岐にわたる疾患の外科治療を対象としています。
 個々の症例に対し最も適切な外科治療をすべく、各診療班で十分な検討を行った後、術後管理を含めチーム医療を心掛けております。出血量、手術侵襲が少ないため、腹腔鏡手術を積極的に導入し、良好な手術成績が得られております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 処置2なし 121 11.12 13.03 0.00% 67.58
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 処置2なし 副傷病なし 35 7.86 9.68 0.00% 37.29
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1:気管支鏡検査、気管支カメラ等 処置2なし 副傷病なし 28 3.39 3.29 0.00% 71.39
 当科の治療対象疾患は原発性肺癌が最も多く、手術適応と判断される場合は根治を目指した外科手術を行っています。進行例に対してはそれぞれにとって最も適切な治療を選択します。化学療法や放射線治療の導入療法後に外科手術を行うこともあります。肺癌は近年薬剤の進歩により治療の幅が広がったため、肺癌の遺伝子や組織型を参考に、再手術や保存的治療など最善の治療を症例ごとに選択します。特殊な放射線治療などは院外の施設にお願いしています。転移性肺腫瘍には様々な種類があり、原疾患の診療科の方針を参考に治療法を選択しています。
 自然気胸に対しては治癒を目的に積極的に外科手術を行っています。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 53 3.21 3.32 0.00% 1.77
140260xx01xxxx 胸郭の変形および先天異常 漏斗胸手術 胸骨挙上法によるもの等 49 12.47 11.87 0.00% 16.73
140260xx97xxxx 胸郭の変形および先天異常 その他の手術 32 4.44 5.32 0.00% 18.41
 当科で最も症例数が多いのは、鼠径ヘルニアの患児です。これは平成27年度も同様です。DPCの対象から除外されているために表には提示されていません。鼠径ヘルニア手術は2泊3日で、腹腔鏡を用いて傷跡が残らない方法で行っています。
 次いで多い疾患は停留精巣です。近年、患児数が増加傾向にあり、1歳から1歳6か月ごろに手術を行っています。これも2泊3日の入院です。
 次に多いのは、胸郭変形、特に漏斗胸に対する胸腔鏡下ペクタスバー挿入術です。小児から成人までの漏斗胸の手術を当科で行っています。
肝胆膵外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 副傷病なし 59 6.76 10.93 1.69% 73.92
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 53 6.45 6.96 0.00% 56.17
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 51 5.76 7.84 0.00% 56.08
 肝胆膵外科が対象とする疾患は、肝臓癌、膵臓癌、及び胆嚢癌といった肝胆膵悪性疾患や、胆石に代表される肝胆膵良性疾患です。外科カンファレンスにおいて正確な術前診断に基づく手術適応を決定し、それに対して患者さんに応じた個別的及び低侵襲治療を行っています。
 治療疾患数では、胆石、胆嚢炎、総胆管結石などに対する腹腔鏡手術が中心となっていますが、悪性疾患に対しての治療においても、高度技能専門施設Aとして、高度技能指導医及び専門医が中心となって、積極的に術前栄養療法や低侵襲手術を行っています。
 また、他分野のメンバーとも協力し、感染対策、リハビリ療法、及び栄養療法といったチーム医療を取り入れ、患者中心の医療を行っています。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 処置2なし 67 5.00 6.79 0.00% 57.79
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む))等 処置2なし 48 12.58 11.63 0.00% 59.02
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 処置2なし 47 12.38 10.37 0.00% 58.70
 本邦では乳癌の罹患数が増加傾向にあります。40歳代後半から50歳代前半の女性の罹患数が高く、他の癌に比べて若年性に発症します。また、乳癌の性質は各患者さんによって異なります。
 当科ではそれぞれの癌の性質を見極めたうえで、各患者さんに最適の治療を選択しております。原則的に手術を中心に、ホルモン療法・抗がん剤・分子標的薬などの薬物治療と、放射線治療の3つの治療のなかから必要な治療を組み合わせて治療します。手術には入院が必要です。乳房全摘か部分切除か、乳房再建を行うかなど術式により入院日数は変動しますが、患者さんの負担を軽減するよう日数の短縮に努めています。薬物治療や放射線治療は外来通院で行うのが基本です。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 処置2なし 111 9.87 13.19 1.80% 74.77
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 34 5.35 5.99 2.94% 68.29
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 32 7.91 8.67 0.00% 74.84
 閉塞性動脈硬化症に対するバルーン拡張術は、鼡径部の大腿動脈を穿刺しカテーテルにて血管内で風船(バルーン)を膨らませて血流改善を行う治療であり、最短で翌日退院が可能です。大動脈瘤ステントグラフト手術は、鼡径部に数cmの斜切開をおきアプローチする低侵襲治療であり、術後3日程で退院可能です。当院における症例数のトップである腹部大動脈瘤に対するステントグラフト手術、高齢者やハイリスク症例には非常に有用な治療法です。
 術後患者の中には大動脈瘤とステントグラフトの間に漏れが生じたり(エンドリーク)、瘤が拡大する場合があり、瘤内への流入血流を遮断するためにコイル塞栓術を行いますが、当該治療は血管内治療であり低侵襲であるため多くは翌日退院が可能です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

◆5大癌について、集計期間に退院した患者さんを対象として、延患者数を集計しています。期間内に入退院を繰り返すなどを
  行った場合は、退院を繰り返した回数分をかけています。
◆「初発」とは、当院において、診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合です。
◆「再発」とは、初回治療が完了したあと、当院において診療した場合や、再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合です。

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 115 9 12 46 97 95 1 7
大腸癌 88 28 38 83 144 225 2 8
乳癌 45 36 132 15 1 7
肺癌 51 45 71 128 48 267 1 7
肝癌 14 17 13 23 42 161 2 5
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 延患者数としては、肺癌が最も多くなっています。これは、抗がん剤治療、放射線治療などで入退院を繰り返した患者さんが多いことなどが関連しています。
 次いで多い大腸癌、胃癌、乳癌は、早期の症例が多いことが分かります。
 病期不明となっている症例につきましては、治療前の検査入院が多く、入院中に検査結果が出ていないため、病期分類ができないことが理由として挙げられます。
 
 当院は、「地域がん診療連携拠点病院」として様々ながんの治療を積極的に行っており、内視鏡的治療、腹腔鏡的治療、手術、抗がん剤治療、放射線治療など患者さんに合わせた治療法を選択し総合的に管理しております。
 また、緩和ケアについても、専任の医師、看護師等の多職種で構成されたチームを中心とした体制を整えています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

◆入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎であって、さらにその中でも
  ICD-10コードがJ13~J18で始まるものに限定し、市中肺炎(注1*)の患者さんが対象となります。
◆使用する指標

1.男性70歳以上,女性75歳以上
2.BUN 21mg/dLまたは脱水あり
3.SpO2 90%以下(PaO260Torr 以下)
4.意識障害
5.血圧(収縮期)90mmHg 以下

(注1*)市中肺炎とは通常の社会生活を送っている中で発症した肺炎です。通常はインフルエンザ等のウイルスによるものも含みますが、本指標では除外します。

患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 24 19.33 58.25
重症度 1 62 15.94 70.05
重症度 2 41 16.63 76.39
重症度 3 17 18.29 76.18
重症度 4
重症度 5
不明
 症例数では中等症を示す重症度1、重症度2の割合が最も多く、全体の約7割を占めております。
 平均年齢では軽症である重症度0は50歳代ですが、中等症(重症度1、2)~重症(重症度3)では70歳代と高齢になっており、成人市中肺炎は高齢になるほど重症化しやすいことが推定されます。
 平均在院日数については、重症度ではなく、患者要因も影響していると考えられ、特に、合併症がある患者さんの場合は、軽症の肺炎でも入院治療の適応となる場合が多くなります。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード

◆医療資源を最も投入した傷病名が脳の虚血性疾患の患者さんを対象として、その発症から入院までの日数別に患者数、
  平均在院日数、平均年齢、転院率を示しております。

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 25 6.60 61.68 0.00%
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 173 17.98 67.50 23.70%
その他 52 19.50 64.54 15.38%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 23 9.78 68.09 0.00%
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内
その他 12 9.42 33.58 8.33%
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内
その他
 脳梗塞のICD10別患者数では、一過性脳虚血発作及び関連症候群では、発症日から3日以内の患者数25人、平均在院日数6.60日、平均年齢61.68歳であり、脳梗塞では、発症日から3日以内の患者数173人で3日以上は52人であり、脳実質外動脈の閉塞及び狭窄、脳梗塞に至らなかったものでは、発症日から3日以上の患者数23人、もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)では3日以上の患者数12人でした。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

◆診療科別に手術件数の多い順に上位3術式について、Kコード、名称、患者数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、
  平均年齢を示しております。
◆手術術式の点数コード(Kコード)による集計ですが、輸血関連(K920)は除外しております。
◆術前日数は入院日から手術日まで(手術日当日は含まない)の日数、術後日数は手術日(手術日当日は含まない)から
  最終的な退院日までとしています。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 246 1.93 23.67 2.03% 68.37
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 61 2.79 18.56 3.28% 56.33
K066-21 関節鏡下関節滑膜切除術 肩、股、膝 47 1.34 10.83 0.00% 43.57
 当科では変形性関節症に対する人工関節置換術、四肢および手指の外傷が上位を占めております。大学病院という特質上、近隣の病院では比較的重篤な内科的合併症を有する症例や高齢者も多く手術を行っております。
 また、上位3位以外でも脊椎手術も多く行っております。人工関節や脊椎手術ではコンピューター支援システム(ナビゲーションを含む)を利用し、より安全で正確な手術を心がけています。その他、靭帯再建などの手術も多く行っております。
 一方、地域医療連携では、関連病院、近隣の医療施設、同窓の先生などの協力のもと、スムーズな入院、退院、転院が行えるよう努力しております。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1781 脳血管内手術(1箇所) 142 2.22 5.75 1.41% 59.01
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 46 5.52 27.46 19.57% 48.02
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 38 0.03 8.95 5.26% 71.95
 脳神経外科主要手術の術前、術後日数、症例数の1位は脳血管内手術(1箇所)であり、患者数は142人、平均術前日数は2.22日、平均術後日数は5.75日、平均年齢は59.01歳でした。2位は頭蓋内腫瘍摘出術(その他)であり、患者数は46人、3位は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術であり、患者数は38人でした。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 45 1.29 9.00 0.00% 68.13
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上) 21 0.76 6.57 0.00% 47.38
K193-23 レックリングハウゼン病偽神経腫切除術(露出部)3 18 1.33 7.67 0.00% 51.72
 当科ではさまざまな皮膚悪性腫瘍に対してエビデンスに基づいて病期別に治療を施行しています。その中で、手術療法の適応のある病期では、積極的に外科的治療を施行しています。また、神経線維腫症1型患者に生じる各種の神経線維腫に対して外科的治療を行っています。その他の皮膚腫瘍に対しても正確な病理診断のもとで、適応に応じて手術療法を施行しています。これらの手術症例において、術前入院期間の短縮、および、早期離床による術後機能障害の防止に努めています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 123 1.53 3.76 0.00% 69.56
K843-2 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 113 1.35 9.74 0.88% 64.73
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 75 2.09 7.75 0.00% 63.12
 当科で最も多く行われている手術は表在性膀胱腫瘍に対する経尿道的手術です。膀胱癌は再発しやすい疾患であり、筋層浸潤性膀胱癌に進展しない限り、再発時は経尿道的手術を行っております。
 次に、前立腺癌に対する腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術、3番目に腎癌、腎盂癌、尿管癌に対しての腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術が多く行われており、気腹することにより出血量、手術侵襲が少ないため、術後の早期回復を見込めます。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K867 子宮頸部(腟部)切除術 153 0.18 0.42 0.00% 41.65
K877 子宮全摘術 135 1.71 6.53 0.00% 47.72
K8872 卵巣部分切除術(腹腔鏡) 106 1.31 4.05 0.00% 32.03
 最も症例数が多かった手術は子宮頸部切除術です。子宮頸部高度異形成・上皮内癌を対象として、静脈麻酔下でLEEPを用いた日帰り手術を行っています。
 次に多かった手術は子宮全摘術です。挙児希望のない方の子宮筋腫や子宮腺筋症を対象として、全身麻酔下で行います。手術前日に入院していただき、術後は5日目に退院となります。
 3番目に多かった手術は腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術です。良性卵巣腫瘍に対する卵巣の温存手術で、全身麻酔下で行います。手術前日に入院していただき、術後は4日目に退院となります。当院では腹腔鏡手術の割合は年々増加傾向にあります。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 1,517 0.15 1.17 0.26% 71.35
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 185 0.70 7.86 0.00% 60.28
K2021 涙管チューブ挿入術(涙道内視鏡) 70 0.21 1.07 0.00% 64.23
 当科の手術件数第1位は、水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他)です。全身に合併症がある方でも対応できるように1-2泊の入院にも対応しています。多焦点眼内レンズを用いた白内障手術にも対応、フェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術も開始しました。
 当科の手術件数第2位は、硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)です。対象は、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑変性、網膜剥離、硝子体出血など、網膜硝子体疾患全般に渡っていて、25、27ゲージの小切開手術により、低侵襲、短時間手術により早期視力回復、社会復帰が可能となっています。
 当科の手術件数第3位は、涙菅チューブ挿入術(涙道内視鏡)です。涙道内視鏡を使用し、術野を可視化することにより、手術の安全性だけでなく、治療成績の向上も認めています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 306 1.12 4.88 0.00% 50.72
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 301 1.05 4.67 0.00% 50.46
K319 鼓室形成手術 180 1.18 4.14 0.00% 40.74
 内視鏡下鼻内副鼻腔手術をはじめとする鼻科手術においては、当科は早くから内視鏡を導入しており、鼻閉、鼻漏、後鼻漏などの鼻症状の改善効果も90%以上に及びます。またナビゲーションシステムなど最新機器を使用することで高度例や再手術例などの難治手術を安全に行っています。さらに喘息やアスピリン喘息合併慢性副鼻腔炎,副鼻腔乳頭腫などの易再発性の副鼻腔疾患に対しても積極的に手術を行っております。
 また、鼓室形成術においても、慢性中耳炎や中耳真珠腫に対して生理的な外耳道形態の保持に努めた術式で、聴力改善手術を施行しております。
 鼻科手術、耳科手術、いずれも良好な治療成績と短い入院期間が特徴です。
心臓外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 22 5.36 29.14 9.09% 67.14
K5551 弁置換術(1弁) 21 7.81 55.95 14.29% 67.24
K5542 弁形成術(2弁)
 当科治療の大きな柱として、弁膜症、虚血性心疾患、大動脈瘤、先天性心疾患があります。弁膜症と虚血性心疾患の代表的な手術が弁置換術と冠動脈バイパス術になります。いずれも、平均年齢は65歳を超え、高齢化とともに合併症のある患者さんも高比率となっています。
 また、2弁同時手術、複数分野にまたがる複合手術も増加していますが、適切な術式を選択し良好な成績を上げています。
内視鏡内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 142 0.47 1.27 0.00% 60.06
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 93 0.18 7.42 0.00% 70.84
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 43 0.88 4.28 0.00% 65.05
 早期の消化管がんや良性腫瘍の多くは、内視鏡治療により手術と同等の治療効果を得ることができ、根治させることができます。
 当院では、小型の良性のポリープは外来もしくは短期入院で、また、大型の良性腫瘍や早期の悪性腫瘍に対しては積極的に粘膜下層剥離術による腫瘍の完全切除を実施しています。常により体にやさしい治療法を模索し、最先端の医療機器を導入しております。
 あらゆる内視鏡治療法を実施することが可能な診療体制を整えており、最も安全かつ効果的な治療法を選択するよう心がけています。
消化器・肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 313 0.40 1.19 0.00% 63.69
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 98 1.47 9.67 0.00% 71.90
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 86 2.67 10.40 0.00% 73.20
 当科で最も手術症例が多いのは、内視鏡的ポリープ・粘膜切除術です。当科の大腸内視鏡検査では、原則全例で拡大内視鏡や色素内視鏡を用いてポリープの質的診断を行い、切除の必要性と質的診断の必要性を判断しています。切除が必要と判断された場合は、ポリープ全体を内視鏡的に切除しています。
 次に多い処置は、血管塞栓術で、これは主に肝細胞癌に対して行われています。当院では、内科、内視鏡科、外科、放射線科などの複数の診療科が連携を取りながら、バランスの取れたスムーズな診療・治療を心がけております。
 3番目に多い処置は、内視鏡的胆道ステント留置術です。近年、総胆管結石や、膵臓腫瘍、胆道腫瘍に伴う閉塞性黄疸を有する症例が多く、閉塞性黄疸を解除する目的で内視鏡的に胆道にステント留置を行っています。術後の膵炎発症予防も行いながら、安全に施行しております。
腎臓・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 56 7.16 11.34 0.00% 60.89
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 40 2.83 3.18 0.00% 67.73
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 32 1.03 2.03 0.00% 63.91
 当科では、慢性腎臓病(CKD)患者さんの治療について、透析を受けていない保存期から透析、そして腎移植まで、連続的に、かつ幅広く行っています。特に、透析を新たに開始する患者さんや、透析中の患者さんに対する血液透析用シャント関連手術や腹膜透析用カテーテル関連手術といった外科的処置についても、私どもが積極的に行うようにしています。
 また、腎疾患に直接関連しない合併症についても、同様に私どもがマネージメントさせていただいています。
 このように、CKD患者さんの腎疾患に対する内科的治療だけでなく、患者さんの全身を診させていただいています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 408 1.31 2.55 0.00% 57.41
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 149 2.67 2.58 0.67% 66.82
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 62 1.45 2.69 1.61% 53.13
 狭心症や心筋梗塞では、心臓の血管(冠動脈)が狭窄もしくは閉塞しておりますが、その場合、経皮的冠動脈ステント留置術を行うことが近年多くなりました。手首や鼠径部(太ももの付け根)の血管からカテーテルを進め、ステントという網目状の小さな金属製の筒を冠動脈内で拡張して、狭窄している血管を広げて血流を回復させます。皮膚や血管の傷は小さく、術後2日ほどで退院可能です。
 不整脈に対する根治術として、経皮的カテーテル心筋焼灼術が当院では多く行われております。治療用の管(カテーテル)を主に鼠径部から心臓内に挿入して、不要な電気回路を遮断することで不整脈を根治させます。当院では基本的に3泊4日で行っております。
消化管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 157 0.13 1.54 0.00% 65.78
K6335 鼠径ヘルニア手術 118 1.64 2.31 0.00% 66.02
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 67 1.91 11.01 0.00% 66.40
 当科の診療内容は、上部チームが胃癌、食道癌、胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、アカラシア、胃粘膜下腫瘍(胃GIST含む)、食道粘膜下腫瘍など、下部チームが結腸癌、直腸癌、大腸ポリープ、腸閉塞、 急性虫垂炎、大腸憩室炎、痔核、痔瘻、腹壁瘢痕ヘルニア、鼠径ヘルニア、 大腿ヘルニアなど多岐にわたる疾患の外科治療を対象としています。
 内視鏡的大腸ポリープ切除、各種ヘルニア手術症例も多く、悪性疾患に対しても、出血量、手術侵襲が少ないため、腹腔鏡手術を積極的に導入し、良好な手術成績が得られております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 85 3.14 7.67 0.00% 66.80
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 41 4.32 3.83 0.00% 39.51
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 37 3.65 6.00 0.00% 69.73
 当科で最も多い手術は原発性肺がんに対するもので、これに転移性肺腫瘍を加えた肺の悪性腫瘍に対し、積極的に手術を行っています。患者さんにはほかの疾患を合併する方も多く、体に優しい胸腔鏡手術をほぼ全例に施行しています。肺部分切除は主に自然気胸に対して行っていますが、高齢者の呼吸状態が不良な患者さんに対しても、胸腔鏡手術を用いて積極的に手術を行っています。
 全手術を院内で完結し、手術の質の向上により術後の合併症も減少しています。術前術後を合わせた入院日数も年々減少しています。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K836 停留精巣固定術 55 2.15 6.47 1.82% 1.85
K4873 漏斗胸手術(胸腔鏡) 47 1.47 10.02 0.00% 17.02
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 40 1.45 1.20 0.00% 2.60
 小児外科の一般的な手術だけでなく、腸重積症・急性虫垂炎などの救急疾患や、小児泌尿器疾患の手術も行っています。当科で最も手術数が多いのは、停留精巣固定術で88例でした。腹腔内精巣に対しては、腹腔鏡を用いた手術も行っています。
 次に多いのは、漏斗協に対する胸腔鏡を用いたペクタスバー挿入術です。傷跡は側胸部に小さいものがあるのみで、整容的にも優れた手術です。
 三番目に多いのは腹腔鏡下ヘルニア修復術であり、傷跡はほとんどなく、両側同時手術が可能であることにも、利点がある手術です。
肝胆膵外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 118 1.81 4.01 0.00% 56.20
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 77 2.13 4.82 0.00% 73.53
K6335 鼠径ヘルニア手術 46 1.17 1.67 0.00% 63.78
 胆石症、胆嚢ポリープ、胆嚢炎の患者さんに対して、当科では可能な限り腹腔鏡での手術を行っております。腹腔鏡下胆嚢摘出術と鼠径ヘルニア手術を受けられる予定で、重い併存疾患の無い患者さんでは、手術前日に入院とし、術後3日目(胆嚢摘出)および術後2日目(鼠径ヘルニア)の退院を基本としております。退院の自信が無い患者さんでは、随時退院日を延長することで、安心して退院していただくよう、心がけています。
 総胆管結石や癌により胆管に障害を来した患者さんでは、内視鏡科との密な連携により、内視鏡での迅速な治療を行っています。術後の入院期間は、引き続いて必要となる原因疾患の治療によって、患者さんごとに異なります。
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 68 1.25 2.82 0.00% 57.63
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 50 1.62 9.64 0.00% 58.62
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 32 1.44 11.41 0.00% 57.75
 乳癌(乳腺悪性腫瘍)の手術は、通常前日入院で行います。
 乳房部分切除(郭清なし)の場合の術後の入院期間は最短で2日です。
 乳房切除や、乳房部分切除(郭清あり)の場合は術後のリンパ液が減るまでの入院を標準としているため、術後7日から10日の入院が必要です。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 84 3.25 6.39 4.76% 74.58
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 55 4.07 8.33 3.64% 69.60
K5611 ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 38 4.53 15.21 7.89% 74.63
 食生活の欧米化や高齢化により、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症等の血管病が増加しています。当科では、心臓と頭蓋内の血管を除く全身の血管を扱っており、他施設で手術不能と判断された患者さんが数多く紹介され、日々難症例の治療にあたっています。
 大動脈瘤に対するステントグラフト手術は、鼡径部に数cmの斜切開をおきアプローチする低侵襲治療です。腹部大動脈瘤に対するステントグラフト手術件数は国内有数であり、高齢者やハイリスク症例に非常に有用な治療手段となります。胸部大動脈瘤も同様に最先端の治療を行っています。全身の合併症を伴う症例が多く、腎保護のため入院しつつ造影CTを施行するケースもあります。
 また、閉塞性動脈硬化症および下肢重症虚血肢に対する血管内治療・バイパス術も積極的に施行しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード

◆医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして、重篤な疾患である、
  播種性血管内凝固症候群(DIC)(注1*)、敗血症(注2*)、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、
  入院契機病名(DPC6桁レベル)の同一性の有無を区別して症例数と発生率を示しています。

(注1*)DIC(播種性血管内凝固)とは
 様々な基礎疾患に合併して凝固系が亢進し、全身の最小血管内に微小血栓が多発して臓器障害が起こる病態。
 これに伴って凝固因子、血小板が大量に消費されて減少し、また線溶系も亢進するため出血症状をきたす。原因となる基礎疾患には悪性腫瘍、敗血症が多い。
(注2*)敗血症とは
 細菌感染によってひき起こされる全身性炎症反応(SIRS)。

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 15 0.06%
180010 敗血症 同一 11 0.05%
異なる 38 0.16%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 149 0.62%
異なる 26 0.11%
 基礎疾患の病態の中で、DICを呈した症例が15件ありますが、全体としては減少傾向にあります。敗血症、その他の真菌感染症は単独の入院契機は少なく、入院後の発症が目立ちます。
 当院は合併症を多く抱えた症例の治療に携わることが多く、感染が経過中生じることもありますが、感染制御部と各診療部の緊密な連携体制のもと対応をしております。
 手術・処置等の合併症は、透析を行うために必要なシャントが使用できなくなり、その治療目的で入院するなど、必ずしも緊急処置や手術を必要とするものでなく、術後に追加で何らかの処置を行なった方が良い場合を含めての件数です。
更新履歴

[2016.09.28] 平成27年度病院指標を掲載しました